先月(3月)末にNHKで「マイラストソング」というテレビ番組がありました。
女優小泉今日子さんのライフワーク的な番組企画だそうです。
人はそれぞれ歩んできた人生において、その時々に忘れられない歌(ラストソング)があると思いますが、
演出家久世光彦氏の同名のエッセイ「マイラストソング」を中心にし、参加者の想い出の歌の話も交えた、ちょっと変わった歌番組でした。
番組で紹介された久世光彦氏のラストソングとしては次のような曲が、エッセイと共に紹介されていました。
「港が見える丘」 平野愛子
「プカプカ」 ザ・ディラン
「爪」 ペギー葉山
「朧月夜」
「みんな夢の中」 高田恭子
言われていれば私自身も人生の節目節目で思い出となる歌があったように思います。
最近で思い出深い歌は、コブクロの「DOOR」という曲があります。
60歳の定年を迎えて、サラリーマン生活にピリオドを打つ積もりでいた時でした。
過去に関わったことがある関連会社の経営を担当してくれないかと言う話が持ち込まれました。
その会社の苦しい経営状況をよく知っていたので、今更・・という気が強くしました。
そんな時たまたま娘から借りたコブクロのCDから流れて来たのが、「DOOR」という曲でした。
この荒れ狂う 大海原を
簡単に渡ろうなんて思っちゃいないさ
ただ港から見送る人に なれないだけさ
海深く沈めた夢を 拾い集めて
自慢気に語ろうなんて あとは惰性で暮らすのかい
不安や恐れに 足元をすくわれそうになるけど
巡り来るこの時に 逆らい続けよう
行くしかないだろう!
こんな歌詞がカーラジオから流れて来ました。
その時の私は、まさに荒海に出て行く船を「港から見送る人」になろうとしていました。
「何故この時期に!こんな歌が!たまたま借りたCDなのに!」とちょっと驚きを禁じ得ませんでした。
同時にこれは「何らかの教示」なんだろうと感じました。
この事がきっかけとなり、それから三年間だけ私には不似合いな仕事を引き受けました。
思うような結果は残せませんでしたが、40年の会社勤務で一番心に残る時間になりました。