秘色の碗(ひそくのわん) | おやじの絵日記

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後期高齢おやじの絵日記です

友人の紹介で読んだ本です。
 
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物語は、唐の文化を吸収すべく遣唐使が盛んに派遣された奈良時代が舞台で、
 
主人公は、「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」の歌を残した阿倍仲麻呂です。
 
奈良時代には中国は唐が全盛を誇っており、日本から多くの有能な若者(官僚・軍人・僧侶)が、明日の国づくりのために遣唐使として命がけで海を渡りました。
 
この本では阿倍仲麻呂のほか、吉備真備、藤原鎌足、鑑真和上、玄宗皇帝、楊貴妃、李白などの歴史上の人物が続々登場します。
 
唐の全盛から衰退に至る激動する中国が背景となっており、題名の「秘色の碗」は唐の時代に浙江省で作られた瑠璃色の青磁です。
 
その時代の唐において阿部仲麻呂は日本人でありながら玄宗皇帝の側近にまで出世し、鑑真和上の日本渡航などに活躍します。
 
しかし本人は帰国船が難破したりなどして、ついに日本には帰ることができず、その生涯を異国で終えます。
 
先の歌は異国の地で故郷を想ってうたった歌です。
 
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写真は今日、奈良からの帰りに近鉄電車から撮った平城旧跡です。
 
普段何気に見ている風景も、その時代の人々に想いを致すと、深みが違ってみえます。
 
まさに、「つわものどもが 夢の跡」という風景でした。