数年前、海上自衛隊に「いずも」「かが」というヘリコプター母艦型の護衛艦が就役したとき、「当面、憲法9条との関係での批判をはばかってヘリコプター母艦ということにしておくが、いずれ攻撃型艦載機を載せる本格的な空母に改装するつもりに違いない」という観測が語られていました。
案の定、このたび戦闘機を発着艦させうる改装が行なわれたとのことです。さらなる攻撃力強化へ向けて第二次の改装も計画されているとか。
が、まあそういう防衛装備のハード面での改修にもまして驚きなのは、「かが」が就役した最初のときから、艦内神社が設けられ、艦長以下の幹部乗員が鎮座祭で玉串奉奠という明らかな宗教行為をしていたということ。
そのご神体をお分けした神社自身が誇らかにサイトに書いているので、判明しました。
祝・護衛艦「かが」就役 | 白山比咩神社 | 石川県 (shirayama.or.jp)
「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という憲法20条3項をいったい何だと思っているのでしょう。「神社神道は日本の文化そのものであって、日本人ならだれでも参加すべき習俗や社会的儀礼の範囲内のことなんだから、憲法の政教分離規定を杓子定規に適用するのは社会の実情になじまない」とでも言いたいのでしょうか。
これぞ、国家神道復活勢力が戦後一貫して日本国憲法に風孔をあけたくて主張し続けてきたところです。護憲派は、9条にもましてこの点をきっちりと追及すべきです。
もちろん、艦長や幹部も含めて、乗員個々人が「せっかく『かが』に乗艦したんだから加賀の国ゆかりの神社のお守りを持ちたい」と思い、現に(個人の立場で)持つことは自由ですが、それと艦内神社にその神を勧請して、幹部が全乗員を代表して玉串奉奠をするというのとは、まったく別のことです。憲法20条はまさにそこのところを明らかに宣言しているはずなのですが。