献血それ自体も白血病患者さんへの立派な貢献です | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

去る二月に競泳の池江璃花子選手の白血病公表があってから三週間ぐらいのあいだ、「そういう患者さんのために自分が貢献できるなら」と思い立って、骨髄バンクにドナー登録する人が急増したとのことです。この一時的ブームはその後沈静化したようですけど、そういう尊い志をもってくださるかたが世の中に増えるのは、日本骨髄バンクの説明員を委嘱されている身としては、たいへんうれしいことです。

 

この「池江ブーム」に続いて、4月22日の例のびっくり仰天のニュースがあって以後、「岡村ブーム」も多少あったようですが、岡村孝子ファンの主力は五十代ぐらいの世代になっているため、かりに「骨髄バンクに貢献したいな」と思い立っても年齢的に登録適格年齢(満54歳まで)を超えてしまっているというケースが多いらしくて、「池江ブーム」ほどのブームにはなりませんでした。

 

でも、池江さん・岡村さんに限らず白血病患者さん一般に対して貢献したいなと思い立ったら、必ずしも骨髄バンクに登録することだけが貢献ではありません。骨髄バンクへの登録ができる場所の大多数は同時に献血を常時受け付けている場所でもあるわけですが、そこのメインの業務である献血のほうに協力するだけでも、じつは白血病患者さんに対しては大いに貢献になるのです。

 

というのは、白血病では、治療に入ると同時に輸血が必要になるからです。癌化した白血球の源泉である癌化した造血幹細胞自体をやっつけてしまうための抗癌剤投与を受け始めると、それによる病状の改善が期待できると同時に、副作用として健康な造血機能を保っている造血幹細胞もダメージを受けることになります。そうすると、血小板が減少して、健康時ならばすぐに止まる程度の出血が止まらなくなったりと、危険な状態になるのです。これを防ぐために、抗癌剤投与と同時並行で輸血も受けなければならなくなります。岡村孝子さん自身が、治療を受け始めてわずか半月ぐらいで、このことを体験的に痛感したらしく、「この病の治療には輸血がマスト」であることを知ったと、書いています。↓

https://www.rbbtoday.com/article/2019/05/03/169601.html

 

 

「だからみなさん、ぜひ献血ルームに足を運んでください」と書いてしまっては、自分のために憐れみを請うているような感じになるから、書けなかったのでしょうが、察しのいいかたには、「輸血がマスト」という言葉の裏にこめられている意味がわかるはずです。

 

わたしども日本骨髄バンクの説明員をしている者は、多くの場合、献血をやっている場所に出向いて、献血を希望した人に対する「もうひとつのオプション」として、「骨髄バンクのドナー登録も同時にできますよ」ということを控えめにアピールすることにしているのですが、その際、いちばん心がけていることは、「献血ができるぐらいのボランティア精神があるのなら、ドナー登録も進んで希望してもいいじゃないか」というような、押しつけがましい態度はけっしてとらない、ということです。

 

むしろ、「ドナー登録もしてみようかな」と進んで言い出した人が、残念ながら年齢超過でドナーにはなれないとわかったときなどは、「それは残念でしたが、じつは、献血それ自体も白血病患者さんのためにはたいへん大きな貢献になっているのですよ」と申し上げて、「あなたのお示しくださった100の善意のうち、80までは、すでに献血そのものでありがたく頂戴しているのです」と、わかっていただくことにしています。なにごとにおいても、人さまのお示しくださった善意に対しては「ねぎらい」の言葉が大切です。

 

付け加えておけば、すでに何度も申し上げているように、白血病治療において骨髄移植(造血幹細胞移植)は「伝家の宝刀」。抜かずに勝つのが上策なのです。