尿道カテーテルは男性が絶対に不利 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

尿道カテーテルの話が出たついでに、尿道カテーテルを挿入されるときや抜去されるときに、男性・女性でどういう違いがあるかという話もしておきましょう。

 

尿道カテーテルは、全身麻酔をかけての1時間以上かかる手術の際には、身体のどこを手術する場合でも必須の道具で、心臓手術だろうと、肝臓手術だろうと、男女ともに手術中はずっと尿道にカテーテルを突っ込まれた状態にされます。全身麻酔をかけて1時間以上も眠らされている場合、括約筋の弛緩によって必ず尿失禁が起こるので、手術の作業を進めるスタッフが、そのケアにわずらわされずに手術に専念できるためには、尿は自動的にカテーテルから蓄尿バッグに落ちるようにしておく必要があるのです。

 

さらに、長時間の手術は静脈から点滴を入れながら行なわれるので、入れた輸液の量と出てくる尿の量とのバランスを観察しつつ手術を進める必要があり、このことも、カテーテルを入れる理由だそうです。

 

なお、他人さまの骨髄移植治療に貢献するための骨髄提供(骨髄採取)も三時間ぐらいかかる手術ですから、尿道カテーテルを必ず入れられます。

 

このような手術中の尿道カテーテル装着の場合は、全身麻酔が効いて、患者が無痛覚状態になった時点で、速やかにカテーテルの挿入を行ないますので、患者は挿入にともなう痛みや不快感はまったく感じなくて済みます。ただし、それならばカテーテルの抜去のほうも、手術が終わって患者が麻酔から醒める直前ぐらいにやってくれるかというと、それは医療技術上不都合があるらしくて、抜去のほうは患者が麻酔から醒めたあとにやることになっています。

 

手術する部位が泌尿器そのものであるSRS(性別適合手術)の場合は、手術中に装着した尿道カテーテルは術後も患部が癒えるまでずっと装着しっぱなしになるわけですが、他の手術の場合は、患者が覚醒してまもなくカテーテルの抜去がなされることになります。

 

その場合、女性はたいした痛みもなく、スッと抜いてもらうことができるようですが、

 

 

男性はそうはいきません。S字型に曲がって20cm近くも長さがある尿道の中に、尿道の太さいっぱいに合うように寸法を選んだカテーテル(カテーテルと尿道壁とのあいだに隙間があるようでは、そこから失禁が起こってしまうから)が挿入されているのを、引っこ抜かれるわけですから、

 

 

カテーテルは尿道壁をこすりながら動くわけです。このときの痛みが尋常ではないうえに、その抜去の際に多かれ少なかれ擦過傷を受けてしまう尿道粘膜が、その後、排尿のつど、ひりひりと灼けるような痛みを生み出し、それが二日ぐらい続きます。これは、骨髄バンクを介しての骨髄提供をしたことのある私の知人の男性二人が、異口同音に言っていたことで、「抜かれたあとも異物感が相当にきつい」そうです。つまり、男性にとって全身麻酔の際の尿道カテーテルは「行きはよいよい帰りは怖い」なんです。

 

女性はそういうことはありませんね。尿道が短いうえに、その太さが平均して男性よりも太いのです。男性の尿道が平均して女性よりも細いのは、男性尿道のもうひとつの役目である射精の際に、水鉄砲の勢いをよくするためだと思われます。排尿だけが目的なら、もう少し太くなっていてもいいのに、排尿に時間がかかるというデメリットを甘受してでも、水鉄砲の勢いがよいほうが子孫繁栄につながるということで、動物のオスはそのように進化してきたのでしょう。

 

女性はそういう必要がないから、排尿なんぞはさっさと済ませてしまったほうが天敵に襲われにくくて有利だという理由から、排尿時間を短くするように進化したのでしょう。

 

というわけで、全身麻酔後の、尿道カテーテルを引っこ抜かれる際には、男性は女性に比べて明らかに不利なのですが、それだけでなく、意識のある状態でカテーテルを入れられる「導尿」などの場合も、女性はさほど苦痛を感じることなく、簡単に挿入してもらうことができるのに対して、男性はさんざんな苦労をさせられます。一応、軽い麻酔効果のあるゼリーを塗ったうえでカテーテルを挿入してもらえますが、そんな麻酔では除去しきれない痛みがあり、「行きも怖い怖い、帰りも怖い」というわけです。

 

これに関する手記がありましたので、リンクしておきましょう。↓

http://jun1ro1210.com/2016/12/24/urethral-catheter%E2%80%90painful/

 

幸いにしてわたくしの場合は、生まれ持った尿道は「痛い、怖い」男性型尿道であるけれど、全身麻酔がかかってからカテーテルを突っ込まれたので、挿入時の痛みは経験せずに済み、そのあと、三週間留置された末に抜去される際には、女性型尿道に変えてもらっていたので〔注〕、抜去そのものにともなう苦痛は、ほとんどネイティブ女性と同じで、きわめて軽くて済みました。平沢ゆうなさんの『僕が私になるために』の79ページにも、そういう点で「得をした」話が書いてあります。

 

 

 

ただし、そうはいってももともとが直径の小さい男性型尿道であるわけですから、それを切り縮めて女性型尿道に変えたところで、排尿速度が速まるわけではありません。というか逆に、先日も書いたように外尿道口が狭窄して、出が悪くなる場合も多く、「尿道ダイレーション」のような特殊なアフターケアが必要になることも多いらしいです。私もそうなったように。

 

 

 

 

 

〔注〕変えるプロセスについては、以下に紹介されている本をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おまけ)

なお、この記事を書いてだいぶ経ってから、「尿道カテーテル、男性、痛み」でググると以下にリンクするサイトがヒットするようになりました。痛くなくする技術も少しは進歩しつつあるようです。

http://www.fujisys.co.jp/wp-content/uploads/2014/11/nmoc_book.pdf

 

 

(おまけのおまけ)

下にリンクする記事もお見逃しなく。