第8話
彼女の瞳に…一瞬映った悲しみ。
僕は気づいていた。
ごめん・・・HANA。
ひきとめなくて。
今日は そばにいてあげられないよ。
僕は荷物をおいて・・・シャワーをあびた。
そして…待ち合わせの駅前のカフェに向かった。
おとといのことだ・・・。
教授の研究室であつめたレポートの整理をしていた。
彼女は家庭教師のバイトで 帰りが遅いし・・・
明日は大学院へ行く日でここによれないから
少し残ってたんだ。
彼女はいきなりやってきた・・・。
「先生 土曜日暇ですか?」
HANAのサークルの新入生だ。
僕が勧誘したし、コンパでも隣の席にやってきたっけ。
「どーして?施設訪問だよ。行かないの・・・?」
「バイトだから・・・」
「先生に相談があるの・・・」
「なに?」
「韓国に留学したいから…いろいろ聞きたくて」
「あ~ いいよ。 空き時間にここにきてくれれば」
「土曜日にあえませんか?」
「8時にバイト終わったら・・・駅前のカフェで 待ってます。」
「絶対きてくださいね・・・」
僕の返事も聞かずに帰って行ってしまった。
強引だな・・・。
行かないと・・・やっぱりまずいよな。
飲み会でHANAのことをしつこく聞いてきた。
たぶん 僕達の仲を 疑ってるんだろう・・・。
気が重かったが・・・はっきりさせないと。
この子たちの行動が 彼女の悩みの種だってことも
分かってたから・・・。
カフェに着いたけど…彼女の姿はなかった・・・。
からかわれたのかな・・・。
お茶をしながらしばらく待ってると
彼女が入ってきた・・・。
「バイト 忙しかったの?」
「先生・・・同じ大学の人がいるから 場所変えませんか?」
「え・・・僕は別にかまわないけど・・・」
「先生 サークルの部屋に移動しませんか?」
「・・・いきましょ!」
無理やり僕の腕をとって…店を出た・・・。
そのまま 彼女は 僕の腕に寄り添って歩いた。
「あのさ・・・重いんだけど・・・」
冗談ぽくいってみたけど・・・
「いいじゃないですか・・・へるもんじゃないでしょ 先生」
離す気配がない・・・。
うちに着いて 1Fのリビングで コーヒーを入れた。
「で…何の相談だっけ?留学の話だったよね」
「うん・・・でもこの前国際センターで話聞いてきちゃったから」
「・・・なんだ・・・そうなの。」
「でも…先生とゆっくり話したかったからきちゃった♪」
「この前の飲み会で・・・結構話したよ」
「先生・・・好きな人いるって飲み会で言ってたでしょ・・・」
「それって韓国の人なんですか??」
「・・・そうだよ。」
「淋しくないですか…会えなくて」
「メールもしてるし・・・帰ろうと思えば週末であえるからね」
「いいなあ・・・」
「あたし…どうしてもっと早く先生に出会わなかったんだろう」
「先生が すごくタイプなんです。 大好きなんです。」
「先生 浮気でもいいから・・・あたしとつきあってくれませんか?」
「彼女には絶対内緒にしますから・・・」
「話って・・・それなの?」
「なんで…怒ってるの?先生」
「うん・・・まあね。ちょっとがっかりしたよ」
「僕は彼女のことが大好きだし・・・浮気なんてしないよ」
「だから・・・ごめんね。」
「分かりました・・・でもひとつお願いきいてもらえませんか?」
「なに?」
「岸川先輩 と あたし達 同じように扱ってください」
「どーいう意味?」
「今新入生の中で 2人が妖しいって言われてるの 知らないんですか?」
研究室でもいつも二人で居るって 有名ですよ」
「用事が合っているんだし・・・君たちにあんまり関係ないんじゃない?」
「でも・・・いやなんです。」
「じゃあ岸川君とも君たちとも話さないよ…そしてサークルも手伝わない」
「これでいい?」
「え~。じゃあサークル入った意味ないじゃん!!」
「じゃあ辞めてもいいよ・・・」
「ぼくもそんないい加減な気持ちで サークルにいてほしくないから」
「…ひどい…先生」
「じゃあ ちゃんと活動に参加してくれる?」
「そしたら 話してくれるの??」
「そんな…交換条件は 僕好きじゃないから・・・」
「じゃあ・・・もういいです・・・」
彼女は怒って出て行ってしまった・・・。
まだ…子供なんだ・・・な。
人を好きになること よくわかってないんだ。
HANAに八つ当たりしなきゃいいけど・・・。
彼女のことが気になってメールを入れた・・・。
「ちゃんと寝てくださいね・・・さらんへよ」
はあ…なんだか疲れたな・・・。
僕は・・・そのまま 眠ってしまった・・・。




