季節外れな話題なのだが、何となく最近思い出して。


まだ20代の頃、ミナミに同級生がアルバイトをしていたバー(スナック?)があった。


同級生がカウンターにいるので、チキンなアタシらでも、そんなに気負わずに出入りすることができた。

また、そこのオーナー(ママ?)も、アタシたちより10ばかり歳上で、やたらと気さくで、みんなから「ねーちゃん」と呼ばれていた。

恐らく、自分でも「ねーちゃんなあ、」と、言っていたような気がする。


そんな気安さから、一人でフラッと行って、飲めもしないお酒をのんで、適当に遊んで帰ったものだった。


そこに、ミュグレの服に身を包んだとても綺麗なお姉さんが、出入りしていた。

細いタバコを指にはさみ、ベージュのリップグロスを引いた唇と、大きなアーモンド型に縁取られた瞳をすぼめ、フッとタバコの煙を吐いた。

その姿を、少し離れたカウンタから、憧れの眼差しで見つめたものだ。

そんなキレイなお姉さんは、みんなから「なっちゃん」と呼ばれていた。


続けてそのバー(スナック?)に、通っているうちに、こんなダサいアタシにも、なっちゃんが声をかけてくれるようになった。

そして、いつの間にか、色んなことを話したり、二人で食事に行ったりするようになった。


ある日、多分詰まらないオトコのことだったと思う、なっちゃんに泣きついたことがあった。

アタシも若かったのだ。なっちゃん許して。


とても寒くて、みぞれ混じりの雨が降る夜だったと記憶している。

一軒目の店を出て、さめざめと泣きながら、寒さに肩を震わせるアタシに、なっちゃんがフワッとかけてくれたスカーフからは、何故か、ミュグレではなく、ディオールのポワゾン(って名前だっけか?)の香水の匂いがした。

二軒目のバーは、バイのオトコの人がカウンターにいるバー(スナック?)だった。


なっちゃんは、カウンターに着くと 細いタバコを指にはさみ、
『マスター、このコにホットラム、バター多めで。』とオーダし、大きなアーモンド型に縁取られた瞳を、眩しそうにすぼめ、タバコの煙を吐き出した。


もうかなり昔のことで、なっちゃんに何を話して、なっちゃんに何を叱られ、何に元気付けられたのか、覚えていない。


重ね重ね、なっちゃん許して。


ただ、
『マスター、このコにホットラム、バター多めで。』と言った、なっちゃんのかっこよさしか覚えていない。



確か、なっちゃんと『ねえちゃん』は、そんなに歳が違わなかったと記憶している。
従って、アタシより10ばかり歳上のはずだった。


10年経ったら、アタシもなっちゃんみたいに、イイ匂いのするスカーフを身にまとい、細いタバコの煙を吐き出し、自分より若い女の子の恋の悩みを聞いてやり、
『マスター、このコにホットラム、バター多めで。』と、言っている予定だった。


なんか、予定とちょっと違ってる。。。


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