辛口太郎のレッツぎふ クチコミレポート!! -10ページ目

辛口太郎のレッツぎふ クチコミレポート!!

地域ポータルサイトでの活動の様子、クチコミレポートとその裏側をつづります。YouTube動画紹介、日常ブログ、診断士からの一言、ダイエット・ストーリーなどもたまに^^

「ええっ?!、1ヵ月に1㎏痩せるだけでいいの?!」
「はい、それで十分ですよ」

太りすぎから右膝を痛めて手術入院した辛口太郎。
退院後のリハビリで、若い理学療法士から思いもかけぬアドバイスを聞いて戸惑った。

「しかしひと月に1㎏なんて、いくらなんでも、それはちょっと・・・」
(簡単すぎるんじゃない?)
(あり得ないでしょう?)
(馬鹿げているだろう?)
次々と、そんな言葉が私の脳裏にこだまする。

「でも辛口さん、それを3ヵ月続ければ3㎏痩せることになります」
「・・・」
「もし半年続けることができれば、何㎏痩せることになりますか?」
簡単な足し算、いやかけ算であった。
理屈はわからないでもない。

しかし私の考えるダイエットとは、痩せるためのジョギングを毎日繰り返し、あるいは食事制限し、もしくは腹筋運動を1万回繰り返すほどのものでなくてはならない。
1ヵ月で5㎏減量、半年で20㎏減量といったスローガンが普通に胸中を占めている。
そうしたキツイ労苦を伴うものがダイエットであり、 だからこそ代償として“痩せる”ことができるのだ。

すこし不審な表情をしたと思う。彼はそれを見逃さなかった。
「激しく運動したり、食べずに我慢したりして急に痩せたりすると、その時は大丈夫でも必ず自分の体に負担を与えます」
「ふむぅ」
「また一時的に成功しても、リバウンドといって、良くないことが起こることもあります」
「むむむ・・・」

優しく諭すような彼の口調は、最後にとてつもない衝撃を私に与えた。
「無理をせずに毎月1㎏痩せる、その思いで半年、いえ1年続けたらどうなりますか?」
「12㎏?」
「はい。そうなった時の辛口さんを見たら、奥さんや娘さんも今とはまったく違う姿にびっくりされるはずです!」

「遠山」という理学療法士、彼の名前を今でも忘れずに覚えているのは、他ならぬこの時の衝撃&感激からであろう。
「助言してくれてありがとう。今の言葉をよく考えてみるよ」

病院からの帰り道、車中で私はずっと考えた。
ほどなく気付いて、深くため息をついた。
(確かに彼の言うとおり。私のダイエットに対する価値観は、どうやら根本から間違っていたようだ)

自宅に戻ると『めざせ、腹筋1万回!!!』と書かれた方眼紙を私は自分で壁から剥がした。腹筋回数を棒グラフで記入するために用意したものだったが、もう必要なかった。
むしり取るように剥がしてはいない。自分の過ちを噛みしめながら、丁寧に剥がした。

“静かな闘志”が、私の中でゆっくりと頭を持ち上げていた。

秋の花-コスモス
「ところで腹筋1万回のチャレンジは、どれくらいの回数に達したのですか?」

帰り際にそう質問され、私は赤面した。
そうだった、彼にも自慢げに話していたのだった。

「恥ずかしけど・・・、まだ500回ちょっと^^;」

退院後もしばらくは、週2回ほどのペースで整形外科病院に通っていた。
松葉杖はまだついていたし、右膝のリハビリが残っていたからである。

「すごいじゃないですか、その調子で頑張ってください!」

私の担当は「遠山」という理学療法士で、まだ20代の若い青年だった。
リハビリの当初からずっと付き合ってくれている。
互いに好感を持ち、結構気さくに話のできる間柄になっていた。

「まぁ、うん・・・」

そのまま愛想笑いをして別れることもできたが、私は躊躇した。
少し暗い表情をしたと思う。彼はそれを見逃さなかった。
「どうかされたのですか?」

隠しても仕方ない。かっこわるくても自分の責任なのだから。
詫びるように、私は彼に告白した。

「遠山君、実はな、この数日は続けていないんだ・・・」
「・・・」
「当初は意気込んでみたけれど、何かえらいし、どこか単純だし、私には続けられそうもない(>_<)」
それによって妻と娘から白い目で見られていることも冗談まじりで話した。

彼はとても明るい笑顔で、即座に私に答えた。
「それならもう、無理な腹筋運動はやめましょう!」

「えっ?、やめていいの?」
「そんな大変な思いをして痩せる必要はありません」
そして力強い口調で、次のひと言をアドバイスしてくれたのである。
「これからは1ヵ月に1㎏減量することを考えて下さい」

「ええっ?!、1ヵ月に1㎏痩せるだけでいいの?!」
“青天の霹靂”、にわかには信じられない言葉でした。

目の前の彼は、自信ありげにうなづいていました。
ダイエットに対する私の価値観を、ものの見事に根底からくつがえす-
そのひと言が、私を変える契機となったのでした。

秋の花-コスモス
やり場のない憤りを突然の決意に変え、私は家族の前で声高らかに、意気揚々と叫びました。
「よ~し、腹筋運動を1万回だ、1万回やるぞ!」

立った姿勢で、そのままゆっくりと首を下に曲げ、視線を床に落とす。
見えるのは、出っ張った自分の腹だけ。

遠い昔・・・、そう、若かりし20代前後の自分の腹を思い出す。
その当時は確かに、“そこ”にあったのです。
6つに分かれた、たくましく引き締まった腹筋が。

今や見る影もない“そこ”は、ブヨブヨというよりはパンパンに張って出ていました。(とにかく1万回の腹筋運動で腹をへこませるんだ!!)

右膝の軟骨再生手術後の入院を終え、ようやく退院した辛口太郎。
「入院ダイエット」で減量したとはいえ、それでも私の腹囲は約112㎝でした。

100㎝を越えたら離婚と冗談半分で言っていた妻は私に尋ねます。
「腹筋運動って、それだけでお腹って簡単にへこむものなの?」
「100回、200回じゃない。何せ1万回だ、それだけやればさすがにへこむさ!」

自分の決意の素晴らしさを私は周囲に知らせたいのです。
自分が立派であると家族に思われたいのです。
どうだい?、私はこんなにスゴイ計画を立てたのだよ、
それに向かって突き進んでいるのだよ、と

わざわざ妻にB紙大の方眼紙とマジックを買ってこさせます。
それを娘に手伝わせて部屋の壁に貼り、さらに娘にタイトルを書かせます。
「『めざせ、腹筋1万回』ってこれでいい、パパ?」
「1万回の後にビックリ(!)マークを書いてよ~、パパのこの決意を示すためには3つはいるな」
「『めざせ、腹筋1万回!!!』これでいい?」
「いいとも!、よ~し、さっそくやるぞぉ~!」

上体起こし腹筋10数回・・・ハアハア、ゼイゼイ
真っ直ぐ寝て足上げ腹筋20数回・・・グハッ、ハァゼイ、ハァゼイ
方眼紙の目盛りに40数回分、腹筋の達成回数を棒グラフで積み上げる。

翌日、さらに翌日、さらに次の日も。
調子にのって80回近くやる日もありました。

グラフの目盛りは開始1週間で早くも300回を越えます。
「でもあまりお腹がへこんだ様子はないわね?」
「当たり前さ、1週間やそこらで結果が出たら誰も苦労しないよ」

そして2週間目
「パパ、今日は腹筋運動やらないの?」
「あっ、うん、忘れてた; やるよ」
足上げ腹筋10数回・・・ハァハァ(今日はこれでいいかっ;)

そして3週間目
「・・・・・・」

なまじ声高らかに家族に宣言した手前、その反動たるや半端ではないように思えます。立派な夫であり父をアピールしたかったのに逆効果です。
「あんなに張り切っていたのに、最近は腹筋運動やってないね?」
「結局3日坊主じゃない!?(なんか大したことないな)」
夫としての名声も、父親としての威厳も一層地に落とすはめになりました。

読者のみなさんもご注意下さい。
軽はずみな“燃える闘志”は決して長続きしません。
確固たる意志で自分を奮い立たせるのは、実は“静かな闘志”であることの方が多いのかも知れません。

秋の花-コスモス