窪   美澄・著
                                              文藝春秋








第167回  直木賞受賞作の著書です
受賞が2022年7月だから  コロナ禍の真っ最中に書かれたものとなります




上の帯に載せた5つの短編から構成されています
最初と最後の短編が  コロナの中で生きる人の姿を正面に据えた作品です




その2編の最後にある文章を引用します



時々、顔をあげて空を見た。明るい星がふたつ、私を追いかけてくるようだ。ポケットの中のミルクティはまだほんのりあたたかかった。何があっても、どんなことが起こっても生きていかなきゃ。
                  (『真夜中のアボガド』より)





ペガはすぐに黒色の雲が流れてきて見えなくなった。だけど、佐喜子さんが体験したあの日の夜のように、炎で溶かされないでよかったと思った。中条君はコロナと戦争は同じと言ったけれど、少なくとも、今はこの町に焼夷弾が降ってくることはない。雲に隠れていたって、星と星は見えない糸でしっかり結ばれて、星座の形を保っている。僕の家族だって、きっと同じだ。                 まにま
                                  (『星の随に 』より)
    




佐喜子さんとは  東京大空襲を体験した  近所のおばあさん。体験を絵に残したいと毎日筆をとり  仕上がった時  僕(想君)に
これから施設に入ると告げます。
「約束してくれる?どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ。つらい思いをするのはいつも子どもだけれどね。それでも、生きていれば、きっといいことがある。……」




この1冊では
死別    離婚    再婚    育児鬱    いじめ   不登校    失恋  ………  などをテーマに書かれています
主人公は  若者と子どもです



彼らの揺れ動く心が
ベタつかない筆致で書かれているのが魅力です
読みやすいのは  おそらく  そこにあると感じます



そして   悩む彼らの心の傷をバンドエイドのように  そっと包み込んで癒してくれる人が必ず居ます
読んでいて心が温かくなるのは  その人たちの言葉や行いからかもしれません




一編には必ず  星か海が登場して  大きな自然に目を向けて生きていけば  いろいろなことを柔らかい目で見つめることができると伝えているようです




読んでよかったと思える1冊でした





ヒヨコ   仰々しく 卯年読書  と書いているのは  このブログを自分の読書記録にしているからです
読後感を纏めるのは   かなりの労力を要して   的外れのことを書いていることもしばしば です    でも これまた脳トレと思って続けていきます
(脳トレという言葉に逃げているかもしれないなあキョロキョロ)


これからは  恒例としている「本屋大賞ノミネート」作品を読んでいきたいと思うところ
何冊読めるやら……🙄




今日は  雨水
朝から雨降りです
でも  あまり冷たい雨ではありません
今   暖房なし  ですから😌



雨だれの音にまぎれて猫の恋
                                        アマンバ