川崎   洋・著
                               ちくま文庫





読み終えたとき
心が柔らかく満たされたと感じました
思わず笑ってしまう文章があちらこちらに顔を出すのです
川崎洋氏の懐と膨大な知識と経験と…あとは何だろう……
そういうのが読んでいる者に  心をゆるゆるにしてくれるのです



『話し方』と題してはあるが  技術的なことではなく  気持ちのありようです
根本にこれがあってこその技術と思いました(←反省をこめています)



一番ずきんときた文章の抜粋です
                                         
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「人の気持ちの微妙なあやというものは、頭だけから発っせられた言葉を受け付けません。磨かれたセンスが必要になります。相手の心に届くよう、ことばのセンスを磨く、その気持ちは人間性を源泉とするのだと思います」



とある駅の車掌さんの発した機転の利いた思いやりのあるひと言から感じたと書かれています




読み進めると  川崎氏は落語の話を例として出されることがたくさんあります
落語からの学びは 分かりやすく読み進めていけました



                 
例えば  「間」の取り方ヒヨコ

「落語ではマクラでちょっと笑いをとって、その笑いが終わらないうちにスッと話に入る、というのが多いようです。〈間をおかない〉のです。」



実生活のなかでは  続いている楽しい雑談の流れのなかで、いつ切り出すか、その時期をうまくつかまなければならず、そのコツを会得するのには  落語を聴くのが勉強になると書かれているほどです



「間というものは、ことばの生活の上だけでなく、広い人生一般にかかわる大事なのですね」




そして「オノマトペ」の効用ヒヨコ



たくさんのオノマトペを紹介したあとで
こんなことが書いてありました




「日本語はもともと音節の組織が単純で、リズムの変化に乏しいので、オノマトペは、民謡に於けるはやしことばのように、音楽的に補っているというか、日本語そのものを、表情豊かにしているといえるでしょう。」



(例)

きっぱりと冬が来た  (高村光太郎より)

月は音もなく のっそりとでていた(山村暮鳥より)

ほうっほうっほうっと蛍が飛ぶ……(北原白秋より)



などなど



落語を聴いていると  それはそれはたくさんのオノマトペが使われているように思います
情景をすーっと思い浮かべることのできるのは  このオノマトペの洗練された効用があるからだと感じます




ここで  私事で失礼しますが以前『童話講座』で勉強しているときに  「ノートにたくさんのオノマトペを書き出しなさい」との助言を受けたことがあります
あっ、今からでも遅くないかな
エッセイや俳句に通じるところも多々ありますキョロキョロ



悪口や悪態語や方言などを肯定し   そこから  人と人の心が触れあっていくことにも  たくさんのページをさいて書かれていました



自分の力では  上手く纏めることができないのが悔しいですショボーン




最後にすごく嬉しかったことヒヨコ

川崎洋氏が  本の最後に  好きな詩として

谷川俊太郎の『生きる』
茨木のり子の『自分の感受性くらい』

を挙げて書かれていたことです
自分の好きな詩と同じだったのが嬉しかったのです


あと  仕事をしていた頃
担任した子どもの詩を新聞に投稿し
川崎洋氏に選んでもらったことがありました



そんなあれこれがこの本と私を結んでくれています🍀




日本語について   楽しく豊かに考える本を紹介してくださった方に  心から感謝しています




たどたどし「すき」の字バレンタインの日                                             (既出)
                                   アマンバ







中?