とある日の事です。


「ご飯、まだあるの」


梅さんが、夕食のご飯をよそっている娘さんに聞きました。


「えっ?」


ご飯は先ほど炊き上がったばかりです。

しかも、炊飯器のスイッチを入れたのは梅さんです。


「炊いたばかりだからまだあるよ」


娘さんが言います。


「炊いたの?」


梅さんはご飯を炊いた事を忘れた様です。


そして。


夕食後。


「明日、お弁当持って行くの?」


梅さんが娘さんに聞きました。


「持って行くけど、明日は遅番だからね」


娘さんが答えます。


「じゃ、ご飯炊かなきゃね」


と。


炊飯器の蓋をあけます。


「ご飯あるわ」

「お弁当持って行くのならご飯あるよ」


梅さんが誇らしげに言います。


が。


今あるご飯は明日のお昼には無くなります。


「明日、遅番だから。お昼食べてから出るよ」


娘さんが答えます。


「ご飯あるからお弁当持って行きなさいね」


梅さんが母親感満載で言います。


しかし。


会話が噛み合っていません。


『大丈夫か?』


不安げに梅さんの様子を見守る、娘さんでした。


トホホ。