とある日の事です。
「また、持って来たの?」
「しおれてるよ」
「可愛そうだから持って来ない方が良いよ」
娘さんが梅さんに言います。
梅さんは道端に気に入った草花が咲いていると、無理やり引っこ抜いて持ち帰ります。
で。
娘さんが育てている植物の鉢植えの隙間に引っこ抜いて来た草花をねじ込みます。
当然。娘さんには無断です。
娘さんは毎朝の水やり時にその草花を発見!となります。
季節や生命力にも依りますが。
無理やり引っこ抜いて来た上になんのフォローもしませんので、根付く物は少ないです。
「可愛らしかったから持ってきたのよ」
「やっぱりダメなのね」
「捨てなさい」
梅さんはアッサリしたものです。
娘さんには梅さんの行動が理解出来ません。
しょっちゅう通る道端に咲いているのですから。
無理やり引っこ抜いて来なくても、通りすがりにみれば良いのでは?
可愛いからと抜いて枯らして居ては、本末転倒では?
数年前。
観光地の遊歩道から花を持ち帰ろうとした事がありました。
と。
《持ち帰らないで下さい》の看板がありました。
「ほら、みんな考える事は同じなのね」
看板を見た梅さんの口から出た言葉がこれでした。
観光客だらけの所でこの発言。
娘さんは流石の恥ずかしさと呆れで、梅さんから少し離れました。
独占欲強すぎでしょう。
トホホ。