朝のことだった。

「さて……メガネはどこだ?」

私は部屋中を探し始めた。

テーブルの上、テレビの横、ベッドの下。
ない。

「おかしいなあ。昨日、確かにここに置いたんだけどな……」

引き出しを開け、棚を覗き、しまいには冷蔵庫まで開けた。

「まさか……冷蔵庫に入れたか?」

もちろん、ない。

そのとき、鏡の前を通った。

鏡の中の老人が、こちらをじっと見ている。

「……誰だ、この人?」

よく見ると、その老人も困った顔をしている。

そして、気づいた。

「…………あっ。」

私は、メガネをかけていた。

しかも、ずっと。

「なんだよ! メガネ、ここにあるじゃないか!」

思わず自分の顔を指差した。

すると鏡の中の老人も、同じように指を差してきた。

「お前か!」

鏡の中の老人に文句を言う。

しかし、向こうも同じ顔で怒っている。

結局その日、私はメガネをかけたまま、30分間メガネを探していた。

そして最後に、妻もいない部屋で一人つぶやいた。

「まあいい。見つかったんだから……。」

いや。

最初から、見つかっていた。

犯人は、私だった。