人
はあれこれ、ありもしないことを想像しがちです。
心を縛るもの、心に棲みついて離れないものはすべて「妄想」です。
他人がうらやましいという気持ちも、自分はダメだという思いも、実はすべて妄想なんです。
妄想はどこから来ているのでしょうか?
それはものごとを対立的にとらえる考え方から来ています。
たとえば、健康と病気、勝ちと負け、美と醜、貧と富、損と得、好きと嫌いなど比較することに何の意味があるのでしょうか?
禅はどんなものとも、どんな人とも比べない「絶対」の存在を教えています。
人それぞれは「絶対」です。
皆比べようがないのです。
そして、絶対の自分を信じて生きよと力づけてくれるのです。
禅には「一息に生きる」という言葉がありますが、これはひと呼吸する瞬間、瞬間を一生懸命生きなさいという教えです。
過去の栄光や名誉が現在を生きる「よりどころ」になってしまうと、なにかにつけて過去を持ちだし見苦しい人になってしまいます。
過去にこだわって生きることは、いまの生き方に対する自信のなさの裏返しなんだと思うんです。
「いま」に集中するということが「自分を大切にする」ことなんです。
私たちは今を生きるしかありません。