田舎の襤褸アパートに住む 小説家を目指している学生が
冷たい真夜中の風に吹かれ 目を覚ました
彼の目の中に 風の線が何本も見え 新聞を手にした彼が見たものは
古くからの友人が死んだ記事だった
彼は焦るように 笑いながら 原稿用紙に新しい作品を書き出した


出版社の和夫は言った あなたは自分の好きなことに 縛られて 作品に進歩が全然見受けられないと 彼は暴れたい気持ちが先走ったが 死んだ友人の顔が浮かんでは消える 今の現状から逃げ出したいという気持ちでいっぱいだったのだ
彼は苛立ちと悲しみを隠しながら 桜咲く桜並木道を1人歩いた


友人が火葬される日
彼は桜の花びらを溢れんばかりに手に抱え込んで上手くいかない現状に苛立っている気持を落ち着かせようと 庭で何度も何度も桜の花びらを撒き散らし 真っ白なコーヒーカップでハーブティーを飲んだ そしてその頃 友人は炎に包まれ 黒煙を吐き出しながら 天に登っていった
その時 桜の花びらが火葬場を包み 死を歓迎したような 真っ昼間となったのだ


友人が死んだおかげで
彼は素晴らしい作品を出せると自己満足に陥っていた 彼の興奮の高鳴りを誰にも止めることは出来ない 彼は死と生 喜びと悲しみのパノラマワールドを幻想の中で繰り広げ 彼は包丁を手にし 夢が叶ったと 笑いながら何度も腕を切りつけ タンポポに息を吹きかけた

彼の頭の中に浮かんだ
パノラマワールドは
美を強調する 美を追求する 涙溢れんばかりの物となったのだ 彼は原稿用紙に自分の新しい世界を書き込み 自分の体に鳳凰の羽根 死んだ友人の体に蛇の体をつけて美を求めた
彼はついにこの日が来たと マーライオンのように 口から真っ赤な血液を吐き出して パノラマワールドの住人になった
真夜中の湖は 月の光を
浴びて 青く光っている
ある夜 僕は湖に出掛けた そこには 学生服着たカップルが 船を漕ぎ
湖の真ん中で 月の光を浴びながら 笑顔で話す光景だった 僕は美術館にある絵のように学生達を見てしまった
あの2人の愛は絵になるほど美しいかった


僕はそんな学生達を写真に収めた 現像してみると 思っていた通り 一枚の絵になっているが 月の光は青でわなく 雷が光ったように 眩しい光に包まれているのだ
僕は不思議に思い 湖へと向かった
そこで僕は信じられない光景を見てしまった

船の塗装は剥げ落ち
さっきまで笑顔だった学生達は原型を留めていなかった
あの光はなんだったのだろうか
あの光が光った後に何が学生2人を襲ったのか
僕は最低なことを考えた戦争の始まり
僕達、国民が知らない内に戦争が始まってしまったんじゃないかと言うこと


2人の未来を一瞬で奪った光は紛れもなく 原子爆弾の一発目であった
テレビでわ日本は勝利すると 堂々と話しているが 僕が思うに こんな団結力がない 日本が堂々と勝利するなんて 言えるのだろうか
ナショナルと言う
国際と言う言葉は 日本という名前より 力強いイメージがある
そんなことを考えている内に僕は思った
あの光が光った瞬間 僕は写真を撮っていたことになる
僕は現実を受け止められないまま湖へと走った
そこにはカメラを抱えた僕の上半身だけあり
下半身は湖の真ん中で 月の光に照らされ浮いていた
僕は死んでしまったと
思った時 365日が過ぎたような気持ちになって 孤独を感じながら 戦争が始まった 日本 戦場の日本を空から眺めた
「自主行為の美学」

夏休みの花火大会に
学生2人が肩を並べて
川原でkissを交わし合う夏草を踏み潰して

町には真っ赤な
提灯が同じ面して並んで真っ赤な血に包まれる
赤い幻想を見ていた


不思議と僕は 林檎飴を舐めて
神社の鳥井の下で 絵を描いていた
言葉すくない 学生が
僕を見て笑ってる
真っ赤な血の幻想が
学生を赤く塗りつぶした

紫陽花の花のように
僕の胸の中で咲いた花火が現実逃避している
僕の右の肺を破裂させた

僕の口から 真っ赤な真実が
夏草を赤く染めて
風に吹かれている
不思議と林檎飴を舐めて鳥井の下で僕は眠る
花火の花を空に咲かせた自主行為の美学
自主行為の美学