◆ロンドン五輪柔道▽女子57キロ級(30日・エクセル) 待望の日本勢金メダル第1号が誕生した! 女子57キロ級で松本薫(24)=フォーリーフジャパン=が決勝でルーマニアのカプリイオリウに延長反則勝ち、初出場で金メダルを獲得した。同階級(旧56キロ級を含む)では日本勢初の五輪制覇。48キロ級の福見友子(了徳寺学園職)、52キロ級の中村美里(三井住友海上)がメダルを逃し、痛恨の取りこぼしが続いた日本女子の救世主となった。男子73キロ級の中矢力(23)=ALSOK=は決勝で敗れ銀メダルとなった。

 センターポールに揚がる日の丸を見送り「君が代」が流れ終わると松本から笑みがこぼれた。「ホッとしてます」。日本に、柔道女子に、待望の金。「最も世界が遠い」といわれた女子57キロ級でも五輪史上初の頂点となった。

 「ハ」の字を逆にした眉毛に、ガブリとやりそうな鬼の形相で畳に上がった。金は相手の「反則」による意外な形で決着した。延長17秒。投げを仕掛けた松本に、背後についたカプリイオリウがすくい投げで返そうと、もつれた瞬間だった。相手が松本の軸足を内側から刈る形に。禁止の危険技とみなされ、相手の反則負けとなった。

 縦横にきびきびと動く柔道スタイルを母・恵美子さん(52)から「ゴキブリみたい」と言われる。野性児、野獣、肉食系、宇宙人…。そんな言葉で周囲は松本の性格を表すが、柔道だけは口をそろえて「強い」。ただ我を忘れると暴走する。試合後、園田隆二監督(38)は「金メダルを取るために抑えることばかり教えた。扱いにくいのも含めてみんなかわいいですよ」と笑い、「やっと初日(金メダル)が出た」と喜んだ。

 谷亮子を育てた名伯楽で、松本の帝京大時代の恩師・稲田明氏(66)も、高校時代の松本を初めて見て「必ず世界チャンピオンになれる目だと思った。獲物をつかみ取りにいく目だった」と心を射抜かれた。「松本は山で拾ってきた」と冗談を飛ばすが「亮子に匹敵する子は松本以外に見たことがない」とうなった。

 規格外の闘争心を示すエピソードは数知れない。06年世界ジュニア選手権では鼻骨を骨折しながら「別に死んだわけではない」と強行出場。試合で鼻骨、上腕、右肘など骨折は5度。高校時代は止まってる車にぶつかり自転車を3台廃車にした。この1年間で「試合中の理性を持つ」と心がけるようになった。「すぐカッとなるのを冷静になれた」と心構えを変えた。

 五輪は、両親への恩返しの舞台だった。遠征で海外に行くようになった中学生の頃、母に「薫はいろんな所に行けていいね」と言われ「お母さんを五輪に連れて行ってあげる」と約束した。調理師免許を持つ父・賢二さん(59)は、骨折を繰り返す娘のために「骨折防止メニュー」のレシピを考え、冷凍した手料理を仕送り。空揚げ、菓子などが「主食」だった松本の体質改善を支えた。

 試合後の会見で一番つらかったことを聞かれた松本は「アイスクリーム封印!」と“らしさ”全開に答えた。

 ◆松本 薫(まつもと・かおり)
▼生まれ 1987年9月11日、石川・金沢市生まれ。24歳。163センチ。血液型A。
▼経歴 金沢学院東高―帝京大卒。フォーリーフジャパン所属。
▼柔道歴 6歳で始め、石川・兼六中3年時の02年全国中学校大会優勝。05、06年全日本ジュニア優勝。07年講道館杯優勝。08、09、11年全日本選抜体重別優勝。
▼海外タイトル 世界選手権10年金、11年銀。
▼得意技 大外刈り、寝技。
▼趣味 走ること。
▼家族 両親、兄、姉2人、弟。
▼好きなタイプ 俳優・小泉孝太郎。10年世界選手権前にテレビの取材を受けた際「金を取ったらディズニーランドで一日デートを約束された」から。が、まだ実現しておらず「必ず守ってもらう」と忘れていない。

◆ロンドン五輪柔道▽女子57キロ級(30日・エクセル) メダリストとなった女子57キロ級で松本薫(24)=フォーリーフジャパン=は「感性の柔道家」と言われている。我をも忘れる闘争本能が強みだが、その性格も常人を超えている。「妖精を見たことがある」「ロンドンのイメージは、えらいおばあちゃん(エリザベス女王)」と不思議ちゃんが話した迷文句のほんの一部を紹介する。

 【Xファイル級の伝説的エピソード】帝京大時代に「緑色の妖精」を目撃したことがあるという。他の女子代表らに真実を問うとだれもが「あぁ、アレね」とあきれたようにそっぽをむく。松本が話す。

 「練習を終えて部室に戻ってきて、のどが渇いたから、ジャーって出るアレ(給水クーラー)を見たら、上のふたがほんのちょっとだけ開いてて。よ~く見たら(親指と人さし指をつまむように)こんなちっさい、緑色のがいたんです。あれは妖精です。ウソじゃないス。ガチで、ほんとですってば」

 【アリ地獄】弟・元大さんと子供の頃によく遊んだ度胸試し。兼六園に近い実家は、坂道沿いにある。雪が降ると、家の屋根に上って、弟と屋根の端から端へダッシュし、先に止まると負け、という度胸だめしをする。「名付けて? アリ地獄です。(屋根の下は)たぶん、20~30メートルぐらいあるから、落ちたら死んじゃいますね。怖くない? う~ん、死んだことないから分かんない。あはははっ」

 【嫌いな食べ物】松本は真っ白なご飯が嫌いという。「なぜ? だって、味がしない。ふりかけかけたら? あっ、そっか。でも、上をすくったら、また白くなる。やっぱ、苦手です」。そんな娘のために調理師免許を持つ父・賢二さんは月に1、2回、野菜、海老がたっぷり入ったチャーハンを大量に作り冷凍で贈っている。


ミスター級!?つまると擬音 【擬音】言葉につまると、出す。ギターは「ほら、あれ、ジャラ~ン」。車は「え~と、走ってるの。ブ~って」。野球は「シュッ、カキ~ン」。

 【柔道をしていなかったら】「小さいころから走るのが好きだから、走っていたと思う」と松本。「マラソン選手になってた?」の問いには、「?」と首をかしげながら「いや、走ってたと思う」

 【人生最大の幸運】「世界選手権の金メダル?」と問うと、即座に「アイスの当たり」と答える。「10本中2、3本は当たる。これってすごくないスか!?」真顔で言うだけに、周囲はもちろん無言になる。

(スポーツ報知より)


松本薫選手金メダルおめでとうございます(^O^)/

松本選手は試合では闘志むき出しで試合をするのに笑えるエピソードを次々に持つというAKB48こじはるに闘志が感じられないようにした選手です。

松本選手の戦いぶりは威圧感が十分にありました。9月の選抜じゃんけん大会を戦うメンバーは(アイドルらしさは忘れず)できるかぎり松本選手のような闘志をむき出しに戦って欲しいと思いました。