第417場 Nirvana | 小説「果実な僕ら」

小説「果実な僕ら」

駆け出し脚本家の、初めての携帯小説です。
BLで始まりますが、内容は様々なヒューマンストーリー。
脚本形式なので、ご了承ください。

Twitterで自動更新ツイートしてます。
あかざえもん @akazaemon_hoshi

【第417場 Nirvana】


(11月9日 営業後)


青藍:「葵さん。」


葵:「青藍、どうした?」


青藍:「葵さんって車持ってます?」


葵:「俺は持ってないけど、免許あるし、恋人が車持ってるから。

12日の話だよね?」


青藍:「お願いなんですけど、迎えに行かせて貰えませんか?」


葵:「それは有難いけど、どうしたの?」


青藍:「隆平さん免許持ってないんで迎えに行きたいんですけど、2人だと噂になるといけないんで、葵さんにも同乗して貰えたらと思って。」


葵:「そういうことならお安い御用。

俺でいいの?九十九さんとかエレアさんとか。」


青藍:「九十九さんはアテンザ貰ったって行ってたし、エレアさんも車持ってるって聞いたんで。」


葵:「なら俺が適役だな。引き受けるよ。」


青藍:「ありがとうございます。」



(営業後 青藍の家)


青藍:「ニュースのこともあるし、今日も隆平さんに電話だな。」


ワン


青藍:「うん、元気になってくれてるといいな。」


♪~~~


隆平:『もしもし、青藍君?』


青藍:「こんばんは。今日も遅い時間にすみません。」


隆平:『ううん、気遣ってくれてありがとう。

でも今日は家の外が落ち着いてる。

発砲事件があったから、そのニュースのせいだと思うけど。』


青藍:「その話なんですが、九十九さん、正確には九十九さんの事務所の社長の津田さんって方と、その後ろ盾のヤクザが動いてくれたんです。」


隆平:『そうなの?!なんで?!』


青藍:「津田さんに12日の話したら、連れていく代わりにってその場で動いてくれました。

発砲事件だけじゃなく、芸能リポーターが隆平さんの方に行かないようにも動いてくれたみたいです。」


隆平:『そうなんだ。でもおかげでうちは平和になったし、発砲事件も大ごとじゃないみたいでよかった。』


青藍:「12日過ぎたら、九十九さんに頼んでそのヤクザの親分さん、御大って呼ばれてるんですが、お礼に行きませんか?」


隆平:『もちろん。きちんとお礼言いたい。』


青藍:「よかった。

あと12日なんですけど、隆平さん車持ってませんよね?迎えに行きますよ。」


隆平:『いいの?』


青藍:「はい。もうリポーターが来ることはないと思いますが、一応葵さんにも同乗してもらおうと思ってます。」


隆平:『葵君にもお礼言わないとだね。

青藍君もいつも心配してくれてありがとう。』


青藍:「当然ですよ。隆平さんのことですから。」


隆平:『青藍君…。』


青藍:「あ、いや…あ!12日楽しみましょうね。」


隆平:『うん!すごく楽しみにしてるよ!』


青藍:「じゃ、もう遅いんでおやすみなさい。」


隆平:『うん、ありがとう。おやすみ。』


ピッ


ワン


青藍:「うん、そうだな。

今日は空元気じゃなくて、本当に元気そうだったね。

九十九さんと津田さん、御大には頭が上がらないな。

12日楽しみ…だ…な…すーすー。」


くぅーん



(隆平のことで気付かぬうちに気を張っていた青藍は、その夜安心から引き込まれるように眠りに付いた。)