八月の魔法使い | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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石持 浅海さんの「八月の魔法使い」を読みました。


八月の魔法使い 石持 浅海

あらすじ
危険だ。関わりあいになるのはあまりにも危険だ。でも、恋人からのSOSに応えないわけにはいかない。入社7年目の若きサラリーマン、経営陣を揺るがす“あってはいけない文書”の謎に挑む!役員会議室と総務部で同時に提示された“工場事故報告書”が、混乱を引き起こす!これはいったい何だ?たまたま総務部に居合わせた草食系サラリーマンは、役員会議室で事件に巻き込まれた恋人を救えるのか。「BOOK」データベースより

タイトルが幻想的だが、ストーリーは日本の企業体制に鋭く切れ込む娯楽小説。
大企業の組織間の摩擦、次期社長の座を狙う権力争い等がたったひとつの会議で描かれる。
ぬるい会議のプレゼン資料に紛れ込んでいた事故報告書から、
会議室内もその外の総務部もカオス状態に陥る様が面白い。

主人公がロジックにつぐロジックで仮説を展開していく様は石持さんの小説らしいさが存分にでていて堪能できた。
しかし会議室内で起きている事を主人公が天才的な発想力で理詰めで推理していくのだが、
いつもの著者の論理的なミステリと様子が違うのは、
ここにこの会社の独特の論理や主人公の社内での保身という要素が入るところ。
空気を読んで上司に角が立たないいように、自分の立場が悪くならないように、
言葉を選んで仮説を披露する描写はサラリーマンの鏡だな、と感心した。

自分も会社に雇われている身なので、色々と感情移入できる部分が多々あったし、
日本のサラリーマンというのは本当に大変なんだよな~、と思わずにいられない小説だった。