鍵のない夢を見る | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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辻村深月さんの「鍵のない夢を見る」を読みました。


鍵のない夢を見る 辻村深月

あらすじ
望むことは、罪ですか?彼氏が欲しい、結婚したい、ママになりたい、普通に幸せになりたい。そんな願いが転落を呼び込む。ささやかな夢を叶える鍵を求めて5人の女は岐路に立たされる。待望の最新短篇集。
「BOOK」データベースより

前々から読みたいと思っていた辻村深月さんの小説。
直木賞を受賞したこともあってやたらと本屋でも見かけるようになったので、
これを機会に読んでみました。

メフィスト賞デビューの作家さんなので、ミステリ色の強いものを期待してたのですが、
この作品はかなりミステリ色も薄い短篇集。
連作でもないのでひとつひとつがかなりあっさり目な印象。

どの話も女性が主人公。
登場する女性はなかなか痛い人が多い。
自意識過剰で見栄と虚栄心の塊みたいなキャラ造形で読んでいてゲンナリする。
それを取り巻く男性もダメ人間が多い。
ニュースで聞いたことがあるようなDV男や、
自己顕示欲の強いダメ男や現実を生きられない自己中な人間など、
これまた人のダメさ加減をスポイルしたような人物描写。

どれもどこにでも居そうな人物像だけに、
自分の周囲にいたら絶対誰とも友だちになりたくないわーと思わせる。
特に「石蕗南地区の放火」と「君本家の誘拐」の主人公は、
大して何もしていないのだが、考え方も言動も本当に女性の嫌な部分を凝縮させたような人物像で、ちょっと引いてしまった。
自分はミステリ好きなので小説内に頭のいかれた殺人者や偏狂気味な考え方の犯罪者など、
どんな人物が登場しても意外とフーンと冷静に読んでいられる質なのだが、
今回は生活感があってリアルに居そうなこういった人物達に自分でも意外なほど嫌悪感を抱いてしまった。
これには著者は読んでいる人間に「なんかこう無性に嫌悪感が抱かせさる」という、
人物描写が抜群に上手なんだろうなと素直に感心した。

一冊だけではまだまだ著者の魅力が自分には伝わらなかったので他の作品も読んでみようと思う。