新月譚 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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貫井 徳郎さんの「新月譚」を読みました。


新月譚 貫井 徳郎

あらすじ
八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった―。
「BOOK」データベースより

本を取った印象は、結構分厚い!でした。
しかし読み始めると読みやすい文章もさることながら、
先が気になって気になってあっという間に読めてしましました。

貫井さんの作品なのでどこかでミステリ的な仕掛けがあると思って
構えてしまったが、謎かけ的な要素はない。
ミステリ小説ではない。
ただただ一人の女性が一人の男性へ生涯を捧げた様を描いた純愛小説。
男性の気を惹く為に整形をしたり、小説を書き初めたり、
行動原理の全ての根本が相手の男性という主人公の咲良怜花。
とても男性が描いたとは思えないような女性の心理描写に圧倒された。

よく考えると安っぽい昼ドラのような設定で、
びっくりするような劇的な展開もないのに、
ページをめくる手が止められないのは作者の筆力に尽きる。
一人の人間を深く濃く描かれてきたのに、最後が驚くほどあっさりなのが
若干物足りなさが残った。

一人の男性に執着して執着して自分を昇華させていく女性の様は、
今敏の映画「千年女優」にも似ているなと感じた。