伊園旬さんの「週末のセッション」を読みました。
週末のセッション 伊園旬
あらすじ
月曜日、四人の男たちに各人各様に降りかかった災難。男たちは危機を回避すべく、それぞれに大金を得ようと、にわか仕込みの罠をめぐらす。複数の詐欺が輪舞する一週間が幕を下ろすとき、明らかになる鮮やかな結末とは?洒落たユーモアに包まれた、クライム・コメディの新たなる収穫。「このミス」大賞作家の本領が如何なく発揮された、現時点における最高傑作。
「BOOK」データベースより
34歳同年齢の4人がまったく別のシーンでそれぞれが大金が必要になり、
偶然出会った顔見知り程度の相手に各人が詐欺を企てるというストーリー。
4名が4名ともに職種も性格も様々で個性的。
詐欺の手法もそれぞれの得意分野で行うという面白さがある。
みんながみんな騙す相手が金持ちだと思っているのもニヤリとする。
人を騙す詐欺の話なのだが、クライム・コメディと銘打っているだけあって、
個性的な登場人物の描写や、あり得ないだろうと思えるシチュエーションに笑いながら楽しく読める。
非常に読みやすい文章も相まって結末が気になってサクサク読めてしまう。
最後の最後はちょっと強引なご都合主義的なオチで終わってしまうが、
あれ?これ結局儲かったのって誰なの??という
魔法にかけられたような不思議な気持ちになった。
なんとも狐につままれた読後感だが気持ちは清々しい。
すごく面白かった!
初めて読んだ作家さんだったが、伊園旬さんの他の小説も読んでみよう。
この小説を読み終わった後に2ちゃんのこのコピペを思い出した。
「カウンターの100ユーロ紙幣」
ときは8月、黒海沿岸の町。雨にぬれる小さな町は活気がなく、すっかり寂れていた。
人々は借金を抱えて苦しい生活をしているのだ。
その町へ、一人の旅人がやってきた。そして町に一つしかないホテルに入ると、
受付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、部屋を選ぶために2階へ上がって行った。
ホテルの主人は100ユーロ紙幣をひっつかんで、借金返済のために肉屋へ走った。
肉屋は同じ紙幣を持って養豚業者へ走り、100ユーロの借金を返した。
養豚業者はその紙幣を握ると、つけにしてある餌代と燃料代を払うために販売業者に走った。
販売業者は100ユーロ紙幣を手にすると、この厳しいご時世にもかかわらず、つけでお相手をしてくれる
町の遊女に返そうと彼女のもとに走った。遊女は100ユーロ紙幣を懐にしてホテルに走り、
たびたびカモを連れこんだホテルに借りていた部屋代を返済した。
ホテルの主人は、その100ユーロを受け取ると、紙幣をカウンターの元の位置に置いた。
ちょうどそのとき、部屋をチェックして2階から降りてきた旅人が、どの部屋も気に入らないと云って
100ユーロ紙幣をポケットにしまいこみ、町を出て行った。
誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返し終わり、町は活気を取り戻した。