贖罪の奏鳴曲 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

中山七里さんの「贖罪の奏鳴曲」を読みました。


贖罪の奏鳴曲 中山七里

あらすじ
弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった―。「このミス」大賞受賞作家による新たな傑作誕生。
「BOOK」データベースより

中山七里さんの著書はデビュー作の「さよならドビュッシー」しか読んでいないのですが、
この小説が巷で大変評判が良いようなので手に取とった。

これはネタバレせずに感想を書くのがなかなか難しい小説。

冒頭から主人公の御子柴が死体遺棄するシーンから始まる。
これは完全に倒叙ミステリの構成。
更にこの弁護士御子柴の仕事ぶりがどうにも胡散臭い。
金持ちから破格の弁護料を請求し、庶民からも恨みを買っている模様。
そして二人の刑事によって御子柴が過去に猟奇殺人を犯した人間であることも明らかにされる。
これは言動も行動も完全にダークなこの悪徳弁護士の完全犯罪もの?
どちらかというと刑事視点で、倒叙モノの割になんだか全容が掴めない小説だなぁ
と歯切れが悪い感じで読み進めていたのだが、御子柴の壮絶な過去の物語になると展開が一変。
読むのが止められなくなった。
クライマックスの法廷シーンも痛快で非常に面白い。

「どんでん返しが止まらない」と帯のキャッチコピーに書いてあるが、
この小説の魅力は犯人探しやどんでん返しよりも、
その登場人物の人物造形にあると感じた。

タイトルの「贖罪」の意味が読みすすめていくにつれ、その重さがわかってくる。
自分は犯罪の加害者にも遺族にもなったことがないので、
正しく罪を償うにはどうすればいいのか、なんて想像もつかない。
読後は色々と考えさせられた。