西澤保彦さんの「夢は枯れ野をかけめぐる」を読みました。
夢は枯れ野をかけめぐる 西澤保彦
あらすじ
四八歳、独身。早期退職をして静かな余生を送る羽村祐太のもとには、なぜか不思議な相談や謎が寄せられる。「老い」にまつわる人間模様を、シニカルな語り口と精緻なロジックで本格ミステリに昇華させた、西澤ワールドの一つの到達点。
「BOOK」データベースより
SF設定でもなければ、猟奇的な殺人も起こらない。
切り口が「老い」についてなのでとにかく地味。
いつものミステリ要素もかなり薄め。
介護問題や認知症など高齢者がメインの話なので、
老人の暮らしづらい生活描写に切なくなる。
2章の爺さんのあっけない最期には同情した。
主人公の羽村祐太は肉を食べると、今後肉を食べられなくなった時の失望感を味わいたくないから食べない、という仙人みたいな俗世間とはかけ離れた人物像なので、
食いたいものを食う!を信条とする自分はあまり共感はできなかった。
しかし早期退職し、こういう風に淡々と歳を重ねていく人生もアリなのかもしれないなぁと思った。
自分の老後を想像しながら読んでいたのだが、最後の章は重かった。
ミステリ小説としてはそんなに大掛かりな謎もないのだが、
色々と考えさせられる小説だった。