柳 広司さんの「パラダイス・ロスト」を読みました。
パラダイス・ロスト 柳 広司
手にとって読み始めると、先が気になって気になってあっという間に読了。
前作「ダブルジョーカー」のラストがラストだけに今作はどうなるのだろうと思っていたが、
1940年頃の話に時計の針が戻った。
どの話も安定の面白さ。
しかし、表題作の「失楽園」は
シンガポールの情景描写が行ってみたいと思うぐらい素晴らしかったが、
D機関のスパイがいつも以上に超絶的に凄すぎて、
「それはやり過ぎだわ~」と思ってしまった。
自分は「追跡」が一番好み。
なんといっても遂にあの魔王結城中佐の過去に迫るというストーリー。
結城中佐がどういった生い立ちで、過去どんな人物だったのかに肉薄する。
しかも調査するのが英国スパイというのも大変面白い。
やっぱりスパイVSスパイという構図が最も胸が踊るシチュエーション!
そしてこのシリーズでは珍しい中編である「暗号名ケルベロス」も読み応えあり。
D機関の異能なスパイたちの中でもこの話の「内海」は一番好きなキャラかもしれない。
このシリーズは本当に面白い。
去年読んだ「キング&クィーン」と「ロマンス」がいまひとつと思ってしまっただけに尚更際立つ。
失礼な話だがこのシリーズばかり書いてくれないものか。