震える牛 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

相場 英雄さんの「震える牛」を読みました。


震える牛 相場 英雄

書店で平積されていて、帯にデカデカと「平成版砂の器誕生!」と書かれていたので、
興味を覚えて買ってしまった。

あらすじ
警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。
初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的に洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことを掴む。ベンツに乗れるような人間が、金ほしさにチェーンの居酒屋を襲うだろうか。同時に殺害されたのは、互いに面識のない仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。田川は二人の繋がりを探るうち大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地元商店街の苦境など、日本の構造変化が事件に大きく関連していることに気付く。
これは、本当にフィクションなのか?
日本の病巣、日本のタブーに斬り込んだ、
衝撃のエンターテイメント大作!
(「BOOK」データベースより)

現代の問題に深く切り込んだ社会派ミステリーという点のみで、
平成版「砂の器」と銘打っていると理解。
この辺はちょっと拍子抜けだったが、
内容はなかなか興味深かった。

どこに行っても大手チェーン店ばかりが目立ち、商店街がなくなり、
その街の色や景観が失っていっていく地方都市を憂う田川刑事。
そして乱立する大きな商業施設が抱える問題点。
大手の飲食チェーン店の内部事情。

名称こそすべて架空の企業名で語られているが、
モデルはすぐに思い浮かぶ企業ばかりだ。

ファミレスにも大手のショッピングモールにもよく行く自分は、
一消費者として知っておいた方が良いと思えることも多々あった。
もちろんフィクションであるのは理解しているし、
細部にリアリティに欠けたあり得ないと思える突っ込みどころも多数ある。

わかってはいるが、それでも飲み屋で出されるハンバーグを「雑巾」と揶揄する記述に戦慄を覚えた。
物語中に登場するハンバーグは、
老廃牛のクズ肉と内臓に脱脂大豆に亜硫酸ソーダ水溶液を混ぜた代用肉と大量の添加物を入れ、
容量増しに水を大量に加えてできたものだから「雑巾」である、と語られる。

学生時代に真保裕一の「連鎖」を読後、
自分の口に入れるものをちょっと考えようと思った時以来の衝撃。
なんかしばらく加工食品が食べられなくなりそう。

ただそれとは別に田川刑事が商店街の肉屋で買う赤い肉の間にサシがビッシリと入った奥州牛はめちゃくちゃ旨そう。
最近坂木司さんの小説をよく読んでいた時も思ったけど、やっぱり古き良き商店街は風情があって良い。
本当に無くならないでほしい。