11 eleven | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

津原 泰水さんの「11 eleven」を読みました。


11 eleven 津原 泰水

読もうと思った経緯は年末の「このミス」にランクインしていた中で、
最も装丁が目を引いたから、という何ともミーハーな理由。
今まで津原泰水さんの小説を読んだことがない上、
内容も全く知らない予備知識のない状態で手に取った。

11の作品の短篇集だから「11 eleven」というタイトルなのか。
(それすら知らなかった。)
全編読んだのでここに感想を書こうと思ったわけですが、
どんな事を書けばいいのかわからないぐらい頭がこんがらがっている。
「ちょっと何を言っているかわからない」という富澤調のボケがボケとしてではなく、
収録されている多くの作品が本気で「ちょっと何を言っているかわからない」。
考えれば考えるほど理解不能で、なんだかわからないが、
奇妙奇天烈な世界にトリップさせられた感覚は不快ではない。
デヴィッド・リンチの映画を観た感じ?

中でも一番最初に収録されている「五色の舟」が凄い。
ずっと頭から離れないんじゃないかと思うぐらいのインパクト。
常人には理解できないような世界観に圧倒された。
戦時中、小人やシャム双生児などの奇形・障害者で構成された見世物小屋の擬似家族が、
岩国の下駄屋にいるという牛と人間の間に生まれた「くだん」に会いに行く話。
「くだん」はこの今の時間軸と並行して存在するパラレルワールドに魂だけ連れて行くと言う。
別次元の世界に行くといっても中身だけが入れ替わるとのこと。

これには読んでいる方も
「な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった
頭がどうにかなりそうだった…」
というポルナレフAAを貼りたい気分。
ポルナレフついでにジョジョ的に説明すると、
SBRの大統領のスタンドD4Cで人の精神だけ別世界に行き来できる版みたいな能力といっていいのかも?

しかしこんなにもグロテスクで歪な話なのに、
この幻想的な夢のような世界にぐいぐい引きこまれた。
読後は心地よい余韻に浸れた。

作中に大した説明もなくさらっと「くだん」という怪物の名前が登場しますが、
どこかで見聞きした記憶があるなぁと考えていたら、昔読んだ「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場していたらしい。
見た目はこんなのらしい。
$家具 通販 赤や 竹田のブログ
この世界観にピッタリの造形だなぁ。

他の作品では「微笑面・改」がお気に入り。
この作品も自分の目の前に別れた女の顔がぼんやりと見えてきたという
怪奇的な何がなんだかわからない話だが、
途中のたった一行の「触れた!」の一文で背筋がゾクゾクっとしました。