殺人鬼フジコの衝動 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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真梨幸子さんの「殺人鬼フジコの衝動」を読みました。
前々から気にはなっていたのですが、
文庫化されて新聞の書評などにも掲載されていたので買ってみました。


殺人鬼フジコの衝動 真梨幸子

俗に言うイヤミス(後味が悪いミステリ。最近はネガティブエンターテイメントとも言うらしい)。
タイトルを見た時点できっと嫌な気分になるんだろうというのは想像はつきますよね。
しかし帯にも
後味悪くて後悔<<<読まないと後悔!

と、かなり煽ってあるし、怖いもの見たさでいっちょ読んでみるか!と決意。

以下ネタバレ的なものもあります↓

読み進めていくと思ったよりも怖くなくて意外。
もっと残忍でグロい描写や、猟奇殺人者みたいな登場人物がでてくるのかと思いきや、
家庭環境が非常に悪く、運も悪いが、どこにでもいるような女の子の物語。
一つの不運が不運を呼び歯車が狂った不幸のスパイラルから抜け出せなくなるのは、
「嫌われ松子」とよく似ている。

ただそんなに怖くもないし、グロくもないが人間の描写が非常に不快。
最終的に人を殺しまくるフジコの頭がイッてしまっているのは確かだが、
その周りの人間にもひたすらに不快感が募る。
人間関係や集団心理の気持ち悪さを前面に押し出す描写がまあ多い。
中でも学校のクラスという狭いコミュニティ内の子供たちの描き方がえぐくて気持ち悪い。
誰にも覚えがあるようなあるあるネタなので余計に心に刺さる。
そしてよくいる大学生。よくいる生保のおばちゃん。よくいるダメ夫。よくいる姑と小姑。
みんな気持ち悪い部分がクローズアップされている。
人の不快感をつくこのスポットのあて方が抜群にうまい。

最後まで読むとミステリでは常套の、あるトリックが使用されている事に気づく。
帯に書いてあった「あとがきまでが本編」という煽り文句。
これ間違いなかったです。
気持ち悪さを醸しだす文章力もさることながら、巧みな構成も素晴らしかった。

読みやすい文章なので、気持ち悪さに耐えられたらあっという間に読める小説でした。
ただ内容が内容なので万人には勧められないかな…。