カササギたちの四季 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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道尾秀介さんの「カササギたちの四季」を読みました。



カササギたちの四季 道尾秀介

道尾秀介さんの小説はほとんど読んでいる私ですが、
実は直木賞受賞作の「月と蟹」だけ読んでおりません。
(あ、「月の恋人」も読んでないや)

なんだろう、
去年はワクワクしながら
「球体の蛇」→「龍神の雨」→「鬼の跫音」→「光媒の花」という順番で読んだのですが、
子供が出ててきて酷い目に合うor陰鬱とした凄惨な物語にちょっとうんざりしてしまったのと、
「光媒の花」は希望が見え読後感もとても良かったのですが、ミステリ色がほとんどない事に、
自分が期待していた部分が不完全燃焼みたいになってしまったんですよね。

それで「月と蟹」のあらすじを読んで、
「またちょっと陰惨な話かー、ミステリっぽくもないみたいだしなー」
と読むのを躊躇しているうちに
この「カササギたちの四季」が出てしまったので、
ちょっとライトな雰囲気があるこっちを先に読もうと。

そしてこの本を読み進めていたのですが…
「あれ?これ本当に道尾秀介さんの作品なの???」
と今までの作風とのギャップにちょっと驚きました。

道尾作品らしからぬ明るさと清々しい作風で、
何より、驚きなのが「人が死なない!」し
「子供も酷い目にあったりしない!」

リサイクルショップの店長の華沙々木が
毎回、名(迷)推理を披露し事件を解決しているように見えて、
実は副店長の日暮が、華沙々木を酔心する中学生奈美の為に、
抜群の推理力で華沙々木の発想と事件の真相を見事に推理して裏で奔走し、
奈美の理想を壊さないように事件を穏便に終息させている、
という何ともややこしい連作ミステリ。

一見ワトソン役と思われる日暮が真の探偵、
という設定がすごく面白い。

どの章にも親子が登場しますが、
それぞれ愛が溢れていて良いです。

特に最後の章の住職はキャラが良すぎ。
かなり心に響きました。

明るく楽しい健全な道尾作品もいいですね!
これは是非シリーズ化していただきたい。