『地下鉄(メトロ)に乗って』
をDVDにて鑑賞。2006年秋劇場公開の作品だ。
原作も前に読んでいて。
著者:浅田次郎氏の筆力にも唸らされたけれど。
映画も、良かった。
堤真一演じる主人公の小沼真次が、
ある夜、永田町駅の地下鉄の階段を上ると、
目の前には30年前
1964年(昭和39年)の風景が広がっている。
“地下鉄”で過去にタイムスリップした真次は、
長年疎遠になっていた父親の生き様を
目の当たりにすることに…。
そこで、知らなかった父親の…激動の時代を
必死に生き抜いた一人の男の生き様を見る。
それによって、少しずつ自分の過去のトラウマに対峙し、
克服していく姿が描かれている。
一緒にタイムスリップする、愛人・軽部みち子(岡本綾)とのやりとり…
相手を思いやり、思い切った身の引き方を選ぶシーンは、
哀しくもあるけれど。
哀しさの中に、静かに優しさや温もりが漂っている。
タイムスリップの不思議と、
人と人との結びつきの不思議が織り成す物語。
その独特の世界観に引き込まれた。
ちなみに、真次の父・小沼佐吉を演じるのは、大沢たかお。
青年時代から老人までを演じている。
大沢たかお、堤真一の共演。
これが作品により深みやリアリティをもたらしていると思った。
二人とも、大好きな俳優さんだが、
「この作品でのお二人の魅力を再認識することになった」
といっても過言ではないだろう。
私もあるとき…地下鉄に揺られているとき。
ふっと、視線の先に、懐かしい時代への入り口が見えたら。
その向こうにどんな景色や、人の思いが見えるのだろう。
見たい、と思うのだろう。
近々、取材先へ向かう移動中…
そんな空想を楽しんでしまいそうだ。
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(記:日下郁子)