『神の火』 著者:高村薫 | 編集プロダクションGROUP

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グイグイろ引き込まれる素晴らしい作品です。
難しい専門用語が出てくるので、
何度も何度も読み返しました



神の火〈上〉 (新潮文庫)/高村 薫

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内容(「BOOK」データベースより)
神から掠めとった炎の砦・原発に男たちは徒手空拳で襲いかかった…。
荒波に洗われる日本海の、とある断崖にそれはあった。
白いコンクリートの巨大な塔で燃えさかるプロメテウスの火。
鉄壁の防護システムで制御された火焔を消し去ることが、彼ら二人の目的だった…。
旧作を根本的に改稿した文庫版に基づく、高村サスペンス初期の代表作。



神の火〈下〉 (新潮文庫)/高村 薫

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神の火 (新潮ミステリー倶楽部)/高村 薫

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神の火を制御せよ 原爆をつくった人びと/パール・バック

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内容紹介
1940年、アメリカには、アインシュタインをはじめ
ヨーロッパからの亡命科学者が多数いた。
彼らは核兵器の破壊力を知らないアメリカ政府に口々に訴える。


「ナチスが核兵器を作っている! ナチスが核兵器を完成させたら大変なことになる!」
「原子爆弾を使うことにはならないとお考えですか」
「使うか否かにかかわらず、アメリカは原子爆弾をつくるべきだ。それもできるだけ速やかにね」

アメリカ政府は、彼らの声に押されるようにして原爆の開発を開始。
若い女性科学者ジェーンや青年科学者スティーブは、
原爆の開発・兵器として使用に反対する。


「核兵器の製造には加担したくありません」
「誰が好きでやるものか。悪魔の仕事だ。だが、ほかの悪魔が先に作ったらどうする?」
原子爆弾という最終兵器があれば、使わずとも戦争そのものを終わらせることができるかもしれない。そこに望みをつないで開発を進める彼らは1945年7月16日、ついに世界初の原爆実験を成功させる。
「やったぞ」バートは絶叫した。「やったぞ。我々は成功したんだ」


彼はスティーブの肩に腕を投げかけ、泣き笑いを始めた。
「新しい神の世界だ」バートはすすり上げた。「新しい天と地……みんな、これは黙示だ!」
「新しい時代には違いないが、果たしてそこは神が住む世界だろうか」
スティーブは暗い気持ちで反問した。


原爆実験の成功を知った アメリカ政府は、日本への原爆投下を決定。
アメリカ政府に原爆を開発するよう働きかけてきたハンガリーの亡命科学者は、
原爆の使用に反対する署名を集めるために駆けずりまわる。


「原子爆弾を使う必要はない。日本は必ず降伏する。すでにひざまずいている。日本人は誇り高い民族だから、無条件降伏なんか言い出しちゃならない。ただの降伏でいいじゃないか。それなら彼らの名誉が保てる。そうじゃないか? 戦争を終わらせることが大切だ。そうじゃないか?」

「投下はやめて、お願い」ジェーンは両手で顔をおおい、スティーブもまた投下をくい止めようと、ビラを撒いて日本政府に降伏を呼びかける。

1945年8月5日、ワシントンは蒸し暑い夏日だった。熱気を含んだ雲が上空に垂れこめていた。
依然として日本から返事は来なかった。
陸軍長官は特別警告を発し、さらに大量のビラをまいた。
その日が暮れたが回答はなかった。
真夜中に憔悴しきった長官は口を固く閉じた若い科学者のほうを向いた。
「スティーブ君」声は穏やかだった。
「やれることはすべてやった。研究所へ戻りたまえ」


恋愛・苦悩・スパイ・夫婦の確執……
原爆を作った人々の愛と葛藤を描いた問題小説。
被爆国に生きる我々は、この小説をどう読むのか!