もう20年以上診ていた患者さんが亡くなった。

 

なぜかわからないが涙が止まらなかった。

 

僕のクリニックの診察券の番号が若いことを誇りにしてくれていた。

まるで倶楽部の会員ナンバーのように。

 

「感動する、感銘を受ける」という意味の英語に「touch」(タッチ)という言葉がある。

 

その患者さんとのいろいろな思い出が、僕の心に触ったのだろう。

 

診察室のティッシュが空になった。

 

お嬢さんには、僕の本を仏壇にあげてもらえるように頼んだ。

 

「~さんへ。どうぞ安らかに。

 

 僕は一生、忘れません

 

 と本にサインして、託した。

 

医療法人社団信証会 江田クリニック 院長 江田証

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