今日6月19日は、朗読の日です。


朗読には、素晴らしい健康効果があるのです。


読書には、黙って読む黙読、自分で声を出すだけの音読、さらに、他人に読んであげる朗読があります


音読だけでも脳は活性化しますが、それほどではありません。


ただ、他人が聞くことを想定した朗読には、前頭葉の血流を良くして認知機能を改善する効果があります。


朗読するためには、まず黙読する必要かあります。

その上で、聴いてくれる他人のために、「ここを強調したい」、「こうやって抑揚をつけたい」などと考えて工夫してから朗読します。


これによって、ポジティブな文章を他人に朗読してあげると、朗読している方の脳がかなり活性化し、ポジティブな幸福感が生まれるというのです。


なるほど、ですね。


ただ音読もいいですが、誰かのために朗読してあげることは、素晴らしい健康効果があるのです。


目の不自由な方や高齢の親、子どもや孫に本を読んであげるボランティアをしながら健康になる、なんて最高ですよね。


そんなことを考えて僕は一日を過ごしました。


なんていい話なんだろう。


戦争や米などの物価高騰で、なんだか世界が不穏で暗い話ばかりですが、朗読するだけなら、誰にだってできます。


僕の好きなフランスの作家、ロマンロランは、その名作「ジャンクリストフ」の中で、


『英雄とは、できることをやる人だ』と言っています。

『そんなんじゃ、つまらない!英雄とは、誰にもできないようなすごいことを成し遂げることだと言っている人もいる!』と反論する若者に対して、

『そんなのはね、嘘つきが言うことだよ、

本当の英雄は、なしうることをやる人が真の英雄なのだよ。それだけでも立派でなかなかできないことなのだよ』

と諭し、若者は真理を感得していきます。


何かすごいことをやるより、本当はできるのに、やっていないことに焦点を当てたほうが、人間は幸せになれるのかもしれません。


『なしうるすべてを』。


医療法人信証会 江田クリニック 院長 江田証


江田クリニック
















100歳以上の人の腸内細菌についての最新研究で新しい事実が判明しました。


それは、長生きする人の腸には、『天然の抗生物質』が多く、これが長生きの人を、感染症から守っているのでは?ということです。


100歳以上生きている人(百寿者と言います)の腸の中にいる細菌と、胆汁酸という物質の関係について、最近わかってきたことをまとめました。

1. 100歳以上の人に特別な腸内細菌と胆汁酸の働き

日本の100歳以上の人たち(平均年齢107歳)の腸の中にいる細菌を詳しく調べた研究があります。その結果、胆汁酸という物質を作り出すのに関わる細菌の遺伝子が、100歳以上の人では普通の人より多くあることがわかりました。
胆汁酸とは、肝臓で作られて消化を助ける物質のことです。腸内細菌がこの胆汁酸を別の形に変えることで、体に様々な影響を与えます。

2. 新しい胆汁酸「isoalloLCA」の発見とその大切さ

100歳以上の人の便を調べると、腸内細菌が作り出す「イソアロリトコール酸(isoalloLCA)」という特別な胆汁酸がたくさん見つかりました。

このisoalloLCAは、今まで知られていなかった新しい方法で作られています。特に「パラバクテロイデス・メルダエ」や「オドリバクター・ラネウス」という名前の細菌が、この胆汁酸を作ることができることがわかりました。

3. isoalloLCAの働きと健康で長生きすることとの関係

このisoalloLCAには、体に悪い細菌(特にグラム陽性病原性細菌という種類の細菌、例えばクロストリジウム・ディフィシルなど)をやっつける強い力があることがわかりました。
マウスを使った実験でも、この細菌をやっつける効果が確認されています。100歳以上の人の腸の中では、この物質が悪い細菌を退治して、腸の中の環境を良い状態に保ち、感染症を防ぐのに役立っていると考えられています。

4. 胆汁酸を作る新しい仕組み

isoalloLCAを作るときには、人間の体にある「5α還元酵素(5α-reductase, 5AR)」や「3βHSDH(3ベータ水酸化ステロイド脱水素酵素)」という酵素と似た働きをする酵素が使われることが、100歳以上の人から採った腸内細菌の遺伝子を調べることでわかりました。

今まで、腸内細菌が胆汁酸の形を変える時は、主にグラム陽性菌という種類の細菌が関わっていると思われていました。
しかし、100歳以上の人では、グラム陰性菌という別の種類の細菌も積極的に関わっていることが新しくわかりました。

5. これからの可能性と応用への期待

100歳以上の人の腸の中でたくさんのisoalloLCAを作る細菌は、治りにくい感染症を防いだり治したりするのに使えるのではないかと期待されています。

また、100歳以上の人の食生活(食物繊維や発酵食品をよく食べること)が、このような腸内細菌が育つのに影響している可能性も指摘されており、これからの研究でもっと詳しいことがわかる予定です。

重要なポイント 

「100歳以上の人の腸内細菌には新しい胆汁酸を作る仕組みがたくさんあり、isoalloLCAという胆汁酸が健康で長生きするために重要な役割を果たしている」

従来、2次胆汁酸は、腸にとってあまり良くないものとして捉えられてきました。

しかし、体に良い働きをする2次胆汁酸もあるということですね。
 
まとめ

100歳以上の人の腸の中には、特定の腸内細菌が新しい胆汁酸(isoalloLCA)を作り出し、この胆汁酸が体に悪い細菌が増えるのを抑えることで、健康で長生きするのに役立っていることが最新の研究でわかりました。

今後、腸内細菌や胆汁酸を利用した、健康で長生きするための新しい方法の開発が期待されています。



 

 

江田クリニックで行っている、バイディレクショナル内視鏡;bidirectional endoscopy(同日に胃カメラ(上部消化管内視鏡)と大腸カメラ(下部消化管内視鏡)を連続して実施する検査形式は、患者さんに複数の利点をもたらします。

 

車の前輪と後輪の修理が必要な場合、両方の修理を同時に行う方が明らかに便利で、効率的で、費用対効果も高くなります。

ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究者たちは、上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査を同日に「まとめる」ことでよい効果が得られることを実証しました。

1. 身体的・精神的負担の軽減

  • 両方の検査を別々の日に受ける場合、患者さんは複数回の絶食や前処置(特に大腸カメラ前の下剤服用)、通院、検査に伴う不安や緊張を繰り返す必要があります。

  • 同日に実施することで、これらの準備や精神的ストレスが一度で済み、患者さんの負担が大きく軽減されます

2. 時間的・経済的メリット

  • 検査日が1日で済むため、仕事や家庭の都合で何度も休みを取る必要がなくなります。

  • 通院回数が減ることで、交通費や時間的コストも削減できます。

3. 医療安全と効率の向上

  • 同日に行うことで、鎮静剤や麻酔薬の使用が1回で済み、薬剤の投与回数・量が減るため副作用リスクも低減します。

  • 医療資源の有効活用も可能です。

4. 検査精度・診断の迅速化

  • 消化管出血や貧血など、上部・下部消化管両方の評価が必要な場合、同日に検査を行うことで迅速な診断と治療方針決定につながります。

  • 検査の順番による違いはありますが、どちらの順番でも検査の質や鎮静剤の使用量に大きな差はなく、患者さんの安全性や診断精度が保たれています。

5. 患者の快適さの向上

  • 最近の研究では、胃カメラと大腸カメラを同日に行うことで、検査中の不快感がより少なく、患者さんの快適性が高まることが示されています。

  • 同日に連続して行うことで、検査に対する抵抗感が減り、今後の定期的な検査受診にもつながりやすくなります。


同日に上部・下部内視鏡を行うことは、費用や時間の削減だけでなく、患者中心の医療においても大きな利点がある。必要な場合には、積極的に同日実施を検討すべきである。」(JAMA Internal Medicine掲載論文より要約)

 

江田クリニック



 

 

 

 

 

 



火曜日は、いちばん長い日⏰。

それはなぜでしょうか?

火曜日がなぜ一週間で最も長く感じられるのかについて、科学的な説明を分かりやすくお話しします。

火曜日が長く感じる理由

多くの人が「月曜日は憂鬱」と言いますが、実は火曜日の方が時間の流れが遅く感じられるという研究があります。火曜日は「先週末がずっと昔のことのように感じられ、次の週末はまだまだ先」という感覚になりやすい日なのです。

脳の時間感覚のメカニズム

脳は感情や注意の向け方によって、時間の流れを伸ばしたり縮めたりする不思議な性質があります。

例えば、交通事故のような緊急事態では時間がスローモーションのように感じられることがありますが、これは実際の知覚ではなく記憶の問題です。

火曜日が長く感じる2つの仮説

 1. 時間のギャップ効果

脳は出来事を文脈で分類して記憶します。同じ文脈の出来事(パーティーでの出来事など)は一緒にグループ化され、他の文脈(タクシーでの出来事など)とは別々に記憶されます。

火曜日の場合:

- 月曜日は週末から平日への大きな変化で、まだ週末の楽しい記憶にアクセスしやすい
- 火曜日になると平日モードに完全に切り替わります
月曜日の記憶が週末の楽しかった記憶への道を塞いでしまいます。
- その結果、週末が実際よりもずっと昔のことのように感じられる

 2. 記憶の過負荷

週末は比較的リラックスした予測可能な行動
(テレビを見る、外食するなど)が多いのに対し、平日は複雑で予測不可能なスケジュールが詰まっています。

火曜日の特徴:

- メールの読み書き、課題の完了、会議の参加など多くのタスク
- 月曜日は追いつくのに精一杯、火曜日は本格的に忙しい
- 脳がより多くの個別の記憶を生成するため、火曜日が他の日より長く感じられる

フランスの認知神経科学者の説明によると、「平日に関わる多くの事柄により、これらの日の記憶は高い精度で符号化され、記憶の中で多くのスペースを占める」とのことです。

まとめ

火曜日が長く感じるのは、脳の記憶処理と時間知覚の仕組みによるものです。

この知識を持つことで、時間の経過に気を取られることなく、やるべき仕事に集中できるかもしれませんね。​​​​​​​​​​​​​​​​

時間知覚の訓練

ドーパミンと時間知覚には密接な関係があり、報酬処理メカニズムが時間知覚に影響を与える ことから:

報酬系の活用が有用です。

- 火曜日に小さな目標設定と達成報酬を組み込む
- 作業完了後の短い楽しい活動を計画
- 進捗の可視化で達成感を高める

つまり、小さな報酬システムの導入です。

火曜日には、楽しみを!

火曜日の終わりに、自分に小さなプレゼント🎁、ごほうびを用意しておくのです。

なにか、小さくてもいいので楽しみを作っておくのがコツです!

Happy Tuesday❣️💘

医療法人信証会 江田クリニック 院長 江田証




忙しい人に朗報!週末だけの運動でも長生きにつながる 

      医療法人信証会 江田クリニック 院長 江田証


平日の忙しさで、なかなか運動の時間が取れない――そんな人に希望となる研究結果が発表されました。

週末にまとめて運動する「週末戦士」スタイルも、健康には十分効果があるというのです。


週末だけでもOK!死亡リスクが大幅に低下


新しい研究によると、運動を週1〜2回に集中させて150分以上の中~高強度の運動をしている人は、以下のようなメリットがあることがわかりました:


  • 全死亡リスクが32%低下
  • 心血管疾患による死亡が31%低下
  • がんによる死亡が21%低下


これは、運動を週に3回以上に分けて行っている人と同じくらいの効果があると報告されています。

この研究は、アメリカ心臓協会の学術誌(Journal of the American Heart Association)で発表されました。


「毎日運動しなくても大丈夫」

研究共著者である中国・広州の南方医科大学の疫学者リ・ジーハオ博士はこう述べています:


「週に150分の運動さえできれば、毎日やらなくても健康に良いというのは、忙しい人にとって希望の持てるメッセージです。」



週末戦士は約4割も

この研究にはイギリスのバイオバンク(UK Biobank)に登録された93,409人のデータが使われました。

対象者の年齢は37歳〜73歳(平均62歳)で、半数以上が女性。

そのうち約43%が「週末戦士」、24%は週に分けて運動している人でした。


なお、「週末戦士」には男性や若年層、健康的な生活習慣を持つ人が多かったとのことです。


どんな運動でもOK、でもケガには注意

運動の内容は、ジョギングやダンス、サイクリング、掃除や庭仕事など、中~高強度の活動であればOKです。

ただし、運動を1〜2日に詰め込むスタイルではケガに注意が必要です。


コロンビア大学医療センターの行動医学の専門家キース・ディアス博士は、こう警告します:


「150分の運動を1〜2日に詰め込むのは体に負担がかかります。

準備運動をしっかり行い、徐々に運動量を増やすことが大切です。」


ただし、彼はこうも付け加えます:

「週末だけの運動でも、やらないよりずっと良い。

リスクよりもメリットの方が大きいのです。」


まとめ

米国心臓協会誌(2025年)の研究では、週末に150分以上の運動を集中して行う「ウィークエンド・ウォリアー」パターンでも、全死因死亡率が32%低下することが示されました。特に心血管疾患リスクの31%減少が注目されます。
これらの効果は、週末に運動時間を確保することで、平日の運動不足を補えることを示唆しています。運動習慣形成の観点からも、週末の朝にルーティンを確立することが継続的な健康管理につながります。


増えている大腸がんは、運動で減らせます。

週末にその鍵はあるのです。


江田クリニック院長 江田証

江田クリニック










父の日に父に贈るべきプログラム。
それは、運動。
医学界で最近よく言われることは、『運動は薬』ということです。

運動はガンを抑え、炎症を鎮める効果があります。
ですので、ガン患者さんにも、ただ寝て安静にしていないで運動させるように医学も変化しています。

欧米で父に贈られている親子でできる運動プログラムについて解説します。

「Run Daddy Run」プログラムとは?

親子で一緒に運動しながら、健康な生活習慣を身につけるプログラムです。

父親と子どもが協力して楽しく体を動かすことで、運動の習慣化や家族の絆づくりを目指します。

これにより、

「Run Daddy Run」プログラム(14週間の父子共同運動介入)

•父子の共同身体活動が1日24分増加(p=0.002)
•父親の中強度活動が17分/日増加(p=0.035)
•子どもの軽度活動が35分/日増加(p<0.001)
•座位時間が父子ともに約40分/日減少


という科学的根拠が報告されています。



運動方法(イラスト・図参照)

1. ジャンピングジャック

両手両足を広げてジャンプ!親子で並んで一緒にやってみましょう。

2. 親子キャッチボール

ボールを使って向かい合い、投げたりキャッチしたりします。
※家の中では柔らかいボールを使うと安心です。

3. 障害物競走

家の中や公園で、クッションやペットボトルを並べて障害物を作り、親子で交互にジャンプしたりくぐったりします。

4. ベアクロール(くま歩き)

手と足を床につけて、くまのように歩きます。親子で競争しても楽しいです。

5. ストレッチ&バランス

一緒に体を伸ばしたり、片足立ちバランスなど、簡単なストレッチをします。

進め方の例

1.目標を決める
「今週は毎日5分間運動しよう!」など親子で相談して決めます。

2.運動を実践
好きな運動を選んで、親子で一緒にチャレンジ!
3.記録をつける
できた日にはカレンダーやシールで記録し、達成感を味わいましょう。

ポイント

•道具がなくても、家の中や近くの公園でできる運動が多いです。
•ゲーム感覚で、親子で楽しみながら続けることが大切です。
•運動の後は「ありがとう」や「がんばったね」と声をかけ合いましょう。  

運動は、大腸がんを減らします。
今、増えている大腸がん予防にもなりますよ。





私の31歳の時、読売新聞に掲載された文章。


読売新聞全国版


父の背中を見て


勤務医 江田 証 31 (栃木県河内郡)



 教育者の父は、厳格であまり人生について語らなかった。ただ、語らなくても、人生に対する真摯な態度を子供は感じ取る。息子にとって父とは、どちらが生がいのある人生を生きうるか、を競い合うライバルだ。

 青春の悩みや困難を乗り越え、目的を待ち成熟した、一人の男となることは大変なことだ。今こうしてやりがいのある人生を送れているのは、ライバルである父の背中を、僕が見てきたからだ。

 休日のある日、勤めている病院に、三歳の息子を連れて行った。その時偶然、救急車が到着し、僕も応援することになった。救急車から、意識のなくなった患者を降ろし、ストレッチャーで運びながら、廊下を走り、蘇生処置をする僕を、息子は、看護師さんの手を強く握りながら見つめていた。

 僕が息子にできることは、こうした背中を見せることしかないのかもしれないと、大きく見開いた瞳を感じながら思った。

 息子よ、今度は君が乗り越える番だ。君が僕のライバルになれ。




あれから、20年以上が経つ。

私の子どもたちも私と同じ医師の道に進み、修練を重ねている。


私の父の希(ねが)いは、われわれの血の流れにいまだに生きている。

ありがとう、父よ。

厳しかった父は、私をどんな困難にも負けないように強く育てた。

ありがとう、愛する父よ。




読売新聞 全国版【医療ルネサンスに江田クリニックが取材されました】


江田クリニック





















【筋肉のささやく音を聴いてみよう】


この筋肉と腸には、深い関係があることが分かってきました。


これを、【腸筋相関】とよびます。


TBSラジオでも解説しました。


音声は以下から聴けます。


医療法人信証会 江田クリニック 院長 江田証



江田クリニック












両耳に指を入れて聴いてみてください。