メビウスの帯(メビウスの輪)という言葉は、テレビのクイズ番組に出題されるなど、かなり知られるようになった。息子が小学生の時、メビウスの帯を使って「手品」を演じたことを、マジックを放映するテレビ番組を見ていて、ふと思い出した。そこで、今回は、手品を演じて好評だったメビウスの帯について考えてみる。
3本のテープと絵具とハサミを用意する。1本目のテープは、ねじらないで両端を貼り合わせる…テープA。2本目は、片方の端を180°ねじって、両端を貼り合わせる…テープB(メビウスの帯)。3本目は、片方の端を360°ねじって、両端を貼り合わせる…テープC。
これで、メビウスの帯の不思議を体験する準備OKである。
先ず、絵筆に赤色を付けて、テープの外側を塗っていくと、テープAは、当然ながら外側のみ赤く塗られる。テープBは、全体が赤く塗られて、白い部分は無くなる。テープCは、片面のみが赤く塗られる。メビウスの帯は、表と裏の区別が無いのである。
次は、テープの片方のヘリに黒い色を付けていくと、テープAは、片方のみ黒く塗られる。テープBは、全部のヘリが黒く塗られる。テープCは、片方のヘリのみが黒く塗られる。メビウスの帯は、ヘリが1本の線に繋がっているのである。
続いて、帯の真ん中をヘリに平行にハサミを入れていくと、テープAは、二つのテープに分かれる。テープBは、二つに分かれることなく大きな一つの帯になる。テープCは、同じ大きさの2個のテープに分かれて、しかも鎖状に繋がる。
更に続いて、ヘリに平行に3等分したラインのうちの1本にハサミを入れていくと、テープAは、2個に分かれる。テープBは、大きさの異なる2個に分かれるが鎖のように繋がっており、小さい方はメビウスの帯になる。テープCは、幅は異なるが大きさは同じである2個に分かれ、鎖のように繋がる。
メビウスの帯といえば、トポロジー。トポロジーといえばメビウスの帯が浮かぶくらいトポロジー(位相数学または位相幾何学)には重要なものである。そのメビウスの帯は、ドイツの数学者メビウスに由来する。メビウスの帯について、メビウスが未発表のノートに記したのと同時期に、ドイツの数学者リスティングも未発表のノートに記している。二人の数学者が、同時期に同じ概念に別々に到達したことは、当時の数学界を窺う上でも興味がわく。
面白いのは、メビウスの帯はその形状から、我々の日常生活の中に活用されていることである。メビウスの帯は、表と裏の区別が無い。言い換えると、帯の表面が普通の帯の2倍になるということである。この性質を応用したのが、カセットテープ(エンドレステープ)、プリンターのインクリボン、コンベヤーのベルト(高温の物体などに接触する面が2倍になるために消耗しにくい)などである。また、リサイクルのシンボルマークに使用されたり、スカーフをメビウスの帯のように作るなどデザインとしても応用されている。彫刻にも数多く見られる。
メビウスの帯は、トポロジーの顔であるが、日常生活のあちらこちらにも顔を出すのである。