女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は、女性が妊娠・出産するためにはなくてはならないホルモンです。

 

エストロゲンとは?

 

エストロゲンとは女性ホルモンの一つで、卵胞ホルモンとも呼ばれます。脳の視床下部から脳の下垂体を刺激するホルモンが分泌されると、下垂体が反応して卵胞刺激ホルモンを分泌します。すると、それに卵巣が反応し、卵巣の中で眠っている卵胞のうちの1020個が成長を始めます。

卵胞の成長が進むにつれて、発育した卵胞からエストロゲンが分泌されます。そのあと、受精卵が着床するのに必要な子宮内膜を徐々に厚くしていきます。

 

エストロゲンの働きは?

 

エストロゲンの働きには、以下のようなものがあります。

● 女性らしい丸みをおびた体をつくる
● 卵胞の成熟を促す
● 受精卵の着床を助けるため子宮内膜を厚くする
● 精子が子宮の中に入りやすいよう頸管粘液の分泌を促す
● 自律神経、感情の動きや脳の働きを整える
● 骨の形成を促し、血管収縮を抑制する
● 基礎体温を下げる

 

エストロゲンは生理にどう作用するの?分泌量は変化する?

 

排卵が生じたあと、子宮内膜が十分な厚みに達する必要があります。エストロゲンは生理の終わり頃から分泌量が増え、排卵直前にピークを迎えます。エストロゲンには子宮内膜を厚くする作用があり、このタイミングから受精卵が着床できるように子宮を整えます。

 

 

排卵が過ぎて一度急激に減少したあと、しばらくある程度の分泌量を保ち、生理が始まる少し前にぐっと減少します。その後は生理が始まるころから少しずつまた増え始め、排卵直前にピークを迎える、というサイクルを繰り返します。

生理が近づいた頃に肌荒れが起きやすく、生理後は肌質が回復する傾向にあるのは、エストロゲンの分泌量が関係しているのです。

 

エストロゲンの減少で更年期障害が起きる?

 

女性ホルモンは、女性としての機能の成熟が始まる思春期にその分泌が盛んになりますが、エストロゲンは40歳前後から分泌量が減少します。その理由は卵巣内の卵胞の数が減少していくためです。

排卵後の着床に向けて子宮内膜を厚くするエストロゲンは、卵胞の成長に伴って分泌されるので、卵胞が少なくなることでエストロゲンの分泌量が減少していくのです。

脳の視床下部は変わらず下垂体を刺激してエストロゲンの分泌を促しますが、卵巣が機能低下によってそれに応えることが難しくなります。そのため、視床下部が混乱して自律神経を乱し、更年期障害の症状が見られるようになります。

更年期障害では、主に以下のような症状が心身に表れます。

● 動悸やのぼせ、頭痛、肩こり
● 物忘れやイライラ
● うつ
● 脂質代謝異常
● 乳房の萎縮
● 骨粗しょう症のリスク増大
● 排尿障害

 

 今回は、少し詳しくエストロゲンについて解説いたしました。次回はプロゲステロンについてです。