始業式が始まり、私と夏歩は堂々と校歌を歌い(今回は歌詞を間違えなかった)、

教室に戻ったとたん、夏歩が昨日の話をしてきた。

「えん、わたし何を聞いても驚かないよ」

とニヤニヤしている。

夏歩は高橋と夏祭りに行ったらしい。

そこでキスをしたらしい。

高橋と・・・というよりキスをしたことがうらやましかった。

夏歩は、

「でも先生は大人だしねー車だしね、最後までしたんでしょ」

と肘をついてきたので、

「何もないよ」

と、本当に何もないので情けない気持ちで言った。

じゃあなんでいたのよ、と言われて、

この前喫茶店で偶然会って送ってもらったら、車の中に髪留め置いてきたら・・・などと話してしまった。私は嘘を言っていない。

夏があけて、しっかり勉強をしてきた人としっかりひと夏の経験をしてきた人が

はっきりわかって、それは前からあったけど、ますますくっきり境界線ができていた。

そして、なんだか私は中途半端にどこにも入れないような気がした。

土岐先輩は、なんで私に話しかけたんだろう。

なんで海に連れて行ってくれたんだろう。

なんでキスしてくれなかったんだろう。

2学期が始まってしまうと、一気に文化祭のシーズンになっていた。

うちのクラスはお化け屋敷をすることになった。

作業中、誰かが携帯にスピーカーを付けて流したので、仕事がより楽しくはかどった。

でも、GREEENの愛唄が流れたときは、急になんだかものすごくせつなくなって、

すこし泣いてしまった。


つづく