「じゃあ、どうすればさいかんやまに行けるの?わたし、一度藤原に逢いたいよ」

 「ばか!おまえ!!藤原の気持ち考えたことあんのかよ!」

 佐藤仁は真っ赤になって、手足をばたばたさせてぐるぐると歩きまわり始めた。やばいことになった、やばいことになった・・・とぶつぶつ話している。

 「だって、わたし、藤原にひどいことしたんでしょ。逢って謝りたいよ。向こうもわたしに逢いたがってくれてるんでしょ?」

 「いや・・・けど・・・」

 佐藤仁はもじもじしている。

 「じゃあ方法だけ教えて! わたしが勝手にそうしたっていうから! 佐藤仁は何にもかかわってないっていうから!」

 「いや別にそういうことで、俺しぶってんじゃねぇんだよ。別に俺が責められる分には構わないからさ。でも・・・お前、今の旦那といて幸せじゃないのかよ。もし藤原に引き留められてさいかんやまに残ることになったら・・・」

佐藤仁はうつむき加減に話した。

 「大丈夫よ。ちょっと逢ってくるだけだから」

 「いや、だから、その気がないなら、兄貴かわいそうじゃんか・・・」

 佐藤仁は完全に悲しそうに話している。

 「でも・・・とにかく謝りたいし。ね、いいでしょ」

 「・・・」

 佐藤仁は背を向けてしまった。

 「俺は・・・藤原の兄貴には幸せになってもらいたいんだよ・・・」

 「・・・」

 今度はわたしがだまりこんでしまった。

佐藤仁は、

「少し考えさせてくれ」

と言ってふらふらと窓からどこかに消えてしまった





つづく