自転車とピンクの花 | 日々のカンゲ記 ふろむパリ→トーキョー

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日々の感激と観劇のきろく。パリ生活のこと。

出勤前にパンクした自転車の修理をしてもらう為に、
近所のおじいちゃんがひとりでやっている小さな自転車屋さんへ。
今までにも何回かお世話になっている。

週末は家にいないから修理に出せないし、今日は出勤前に持って行くしかなかったのだが、
修理をその場で待つ時間もないし、帰ってくる頃にはお店はおしまい。

自転車を預けて修理してもらっても、お支払いをどうしよう?と思っておじいちゃんに相談したら、
「自転車の鍵を預かっておいて、ここ(ヒミツのポスト)にいれておくからいいよ。
代金もそこに書いておくから、お金あったらいれておいて」
だって。

さすがにびっくりして、
「前払いしなくていいんですか?!では、名前と電話番号書いていきますね」と言ったら、
「いいよ、いいよ、どうせあなたはとりに来るんだし、書く必要ないじゃない」とおじいちゃん。

これが信用取引きってやつなのか。
この時代、東京の真ん中にもこんなに優しくてのどかな風景が残ってる。

思えば祐天寺に住んでもうすぐ6年。
こういうご近所のあたたかいお付き合いがたくさんあった。
会うたびに、ご挨拶する管理人のおばちゃん。
おばちゃんに会うといつもおばちゃんの長いお話が始まる。それで最後はおやつもらったり。
家のお風呂が壊れた時は、お風呂を貸してくれたこともあった。

近所の親友、ぐっちゃん家はもはや私の目黒の実家。
いつもママのおいしいごはんをごちそうになって、家族と一緒にだらだらテレビみて、
くだらないことしゃべって。

風邪を引いて倒れた時も、いつも助けてくれた。
まだ寝込んでいるだろうから、って出勤前にドアノブに差し入れをぶら下げてくれた。

交通事故で怪我をして一時期通っていたお医者さんも、すごく優しくしてくれて、
事務のお姉さん達も、親身になって色々保険とかの相談にのってくれて嬉しかった。

都会の真ん中にもこんなことが残っているんだな~ってそのたびに思う。捨てたもんじゃない。



そして、今日仕事が終わってから自転車屋のおじいちゃんの所へ、
修理が終わってピカピカになった愛車をとりにいった。
細かいお金がなかったので、もうお店は終わってしまっていて申し訳なかったけれど
お家のインターフォンを鳴らして、おじいちゃんにお金を払ったら、

「あそこにお花があるでしょ、あれ、植木市で買ったからね、
かわいいお花だからよかったら持ってっていいよ。」
と小さなプラスチックカップに入ったお花を指差して言った。

わたしはうれしくて、おじいちゃんに
「ありがとうございます」といってピンクのかわいいお花をひとつもらった。

明日にでもプランターに植え替えて、大事に育てよう。

今日もいい日。