茜さらさのキズナレンサ

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私は佐伯光の視線や美咲が言っていた言葉がどうにも気になって、観覧車に向かう途中も頭の中はそのことで一杯だった。


佐伯光と観覧車に一緒に乗って、そこで本当に告白したほうがいいのだろうか。


いや、そんなことをして普通に断られれば、その後の時間はいったいどうするんだろうか。


それに今の関係を壊すぐらいなら、何も言わないほうがいいのかもしれない。


でも、今のままの関係を続けることでいったい何になるのだろうか。

私はそんなことを考えていると、もう訳がわからなくなるばかりなので、ひとまず考えるのを止めた。


ふとまた視線を感じたのでその方向を見ると、佐伯光と視線が合い、なぜか視線を外された。

「お待たせ」

と美咲は笑顔で言った。


「遅かったな。何してたんだ?」

近藤は腕時計をチラッと見た。


「まあガールズトークってやつかな」

「ガールズトークって何だよ?」

「それは言えないよね」

美咲は私に合図を送ってきたので、私はすぐに頷いた。


「何だそりゃ」

近藤が呆れた顔をしていたのが可笑しくて、みんなでクスクスと笑った。


四人で海を見ながら、しばらくたわいもない会話を楽しんでいると、綺麗だった夕焼けが段々と暗い色に染まり始めていた。


「ねえ、そろそろ暗くなってきたし、最後に観覧車に乗ってから帰ろうよ」

と美咲が言った。


「えっ、観覧車に乗るのか?」

と佐伯光が美咲に訊いた。


「やっぱりお台場に来たら観覧車には乗らないとね」

「そうなんだ。でも、お台場の観覧車はまだ乗ったことないし、楽しみだな」

佐伯光は私のほうをチラッと見た。

「別にいいんじゃん」

「……そっか。別にそれならいいんだけどね。いちおう今日はそのことを聞こうと思ってたからさ」

「いや、付き合いたいとは思ってるんだよ」

「それじゃあ今日は最後に観覧車に乗るから、そのときにコクってみたら」

美咲は他人事だと思っているのか、ニヤニヤとしながら面白がっているようだった。


「余計なお世話だから。それより観覧車に乗るの?」

「どうしても観覧車には乗りたかったんだ。当然奈々は光と一緒に乗るわけだから、そのときがいろいろとチャンスなんじゃないの」

美咲は意味深に肩をポンと叩いた。


「まあ、いちおう考えとく」

私はそう言い、佐伯光たちのところに戻った。