ようやく読むことができました!!サマセット・モーム。


 サマセット・モーム賞を受賞したことのあるイアン・マキューアンは何冊も読んだけど


 ようやく。

 『世界の十大小説 』や『読書案内』を読み、かなり楽しい時間を過ごせました。

 感性や価値観がかなりモームと合っているようで、きっと彼の小説も好きになれるのでは・・・?との淡い期待を抱いて読了ですキラキラ


 その勘は大正解!


 今回私が読んだのはアフィリエイトも貼りました古典新訳文庫

 こちら、読み終わってから訳者が土屋政雄さん、訳がかなり気に入ったカズオ・イシグロ『日の名残り 』のと同じ方だと気が付きました。

 あとがきによると、彼にとってもモームって特別な存在らしく・・・。


 新潮文庫の訳者 中野好夫さんも大好きなんですけどね。

 モームの第一人者です。この方がいらっしゃらなかったら、日本でここまで広まらなかったのでは。


 『月と六ペンス』というタイトルの響きが・・・かなり好きです。

 でも、読み終わっても何が何だか分からない。


 解説によりますと、『人間の絆』が世に出た際の書評に

 「ほかの多くの青年と同様、主人公フィリップは『月』に憧れ続け、その結果、足もとにある『六ペンス』には気がつかなかった」

 と書かれたそうです。


 それをモームが月は理想(夢)を、六ペンス銀貨は現実を表す比喩として用いた――とされている、らしいです。ちょっとスタンダールの『赤と黒』っぽくないですか?


 何よりこの書評が凄いですよね・・・!!☆

 あぁ、ステキ。



 語り手は作家の「私」。『グレート・ギャツビー』のような感じになってます。


 「私」は、知人のストリックランド夫人に夫を探してくれとある日頼まれます。


 イギリスの証券会社で働いていたストリックランドは、ある日突然、置き手紙だけを残し謝罪の言葉もなしに妻子を捨て、家を出て行ってしまったと聞きます。


 夫人が調べてみると、週に何度もブリッジをすると言ってクラブに行っていたのに、実はクラブには行っていなかった・・・。


 当然、女と駆け落ちだ!!!


 となるのですが、実際に「私」がストリックランドに会ってみると


 女の影もなく、ただ単に”絵を描くため”に家族を捨てパリへ来ていました。


 この段階ではストリックランドは画家でも何でもなく、「私」が夫人のもとへそれを伝えに行っても当然の如く簡単にはそう信じようとはしない。


 暫らく経ってもへたくその画家だ、と言われ続けていましたが、


 評価しているのは「私」の友人でもある画家のダーク・ストルーヴくらいのもの。

 ストリックランドはとても社会に溶け込めるタイプの人間ではなく、粗野で友達付き合いなどしないタイプ。

 それに対してストラーヴは物凄く良い人です。


 但し、ストラーヴには才能はない。

 ストリックランドには今は評価されていないけれど、並々ならぬ才能がある。


 理解しない周りのものに、芸術とはなにかを悟って言います。

 確かに文学だって死後何十年とか経ってからようやく評価されるなんてよくありますし。

 しかし、ストリックランドに出会ってしまった故に・・・・考えられないような悲劇が襲い掛かる。


 それでもストラーヴはやっぱり芸術家なんですよね。

 才能はないのかもしれないけど、見る才能はあったというか。

 


 まさか、こんな展開が待っているとは思わず・・・。



 ストリックランドの死後に、別件でタヒチを訪れる「私」。

 晩年を彼はタヒチで過ごしたため、聞いてまわります。


 彼の最期は・・・・。



 一般的に、ゴーギャンをモデルにかかれた、と有名なモームの代表作『月と六ペンス』ですが、


 似ている箇所よりも相違点のほうが多い、と現在はあまりそういう見方はされないのかな??

 



 かなり引き込まれ、一気に読んでしまいました。

 『人間と絆』、そして研究社たちの中でそれらよりも断然評価されているような


 『お菓子とビール』、『かみそりの刃』(だっけ)も是非読んでみたいと思います。

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