今回は
伊坂幸太郎 フーガはユーガ
§あらすじ§
仙台市内のファミレスで
常盤優我は一人の男を前に語りだした。
優我の双子の弟・風我こと
幸せとは言えない子供時代のこと
そして、誕生日にだけ起こる不思議な現象のこと。
優我と風我は特別な能力を武器に
世の中の悪に立ち向かう。
双子の兄弟が戦いの末に手に入れるものとは。
§感想§
冒頭、双子の兄弟が父親から暴力を振るわれているシーンから始まる。
これはちょっとハードな内容なのかな、と思った。
実際、全体として子供が虐待や犯罪に巻き込まれることをベースに話が進んでいくので、
読んでいてしかめ面になっていたかもしれないと、思う程。
でも、そういう陰湿というか負の出来事があるからこそ
ヒーローが登場した時に歓声が上がるわけで。
優我と風我は決してヒーローになりたいとか
正義感を持って人助けをしていたわけではないけど
「力を振りかざして弱い者を痛めつける人間に腹が立つ」
そういう正常な心を持っている。
それがどれだけ大切なことか
物語に出てくる大人を見ているとわかる気がした。
シリアスになりすぎないのは
語り口が砕けていることと
瞬間移動という非現実的な現象が中心にあるからだと思う。
物語はどんでん返しの後、
ちょっと切ない雰囲気で終わる。
ネタバレになるので少し伏せるけど
語り手が変わらないところが良い余韻。
それだけでちょっとだけコミカルになる不思議。
子供時代が中心だから
どうしても残虐さが目に付いちゃうかなぁ。
満足度★★★☆☆
子供が残虐な目に遭う系は苦手かも