本の虫になりたい

本の虫になりたい

本嫌いの少女、本の虫を夢見る大人になる

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今回は

伊坂幸太郎 フーガはユーガ

 

 

§あらすじ§

仙台市内のファミレスで

常盤優我は一人の男を前に語りだした。

 

優我の双子の弟・風我こと

幸せとは言えない子供時代のこと

そして、誕生日にだけ起こる不思議な現象のこと。

 

優我と風我は特別な能力を武器に

世の中の悪に立ち向かう。

 

双子の兄弟が戦いの末に手に入れるものとは。

 

§感想§

冒頭、双子の兄弟が父親から暴力を振るわれているシーンから始まる。

これはちょっとハードな内容なのかな、と思った。

 

実際、全体として子供が虐待や犯罪に巻き込まれることをベースに話が進んでいくので、

読んでいてしかめ面になっていたかもしれないと、思う程。

 

でも、そういう陰湿というか負の出来事があるからこそ

ヒーローが登場した時に歓声が上がるわけで。

 

優我と風我は決してヒーローになりたいとか

正義感を持って人助けをしていたわけではないけど

「力を振りかざして弱い者を痛めつける人間に腹が立つ」

そういう正常な心を持っている。

 

それがどれだけ大切なことか

物語に出てくる大人を見ているとわかる気がした。

 

シリアスになりすぎないのは

語り口が砕けていることと

瞬間移動という非現実的な現象が中心にあるからだと思う。

 

物語はどんでん返しの後、

ちょっと切ない雰囲気で終わる。

 

ネタバレになるので少し伏せるけど

語り手が変わらないところが良い余韻。

 

それだけでちょっとだけコミカルになる不思議。

 

子供時代が中心だから

どうしても残虐さが目に付いちゃうかなぁ。

 

満足度★★★☆☆

子供が残虐な目に遭う系は苦手かも

今回は

恩田陸 ブラック・ベルベット

 

 

 

§あらすじ§

神原恵弥は東洋と西洋の交差点、T共和国を訪れた。

 

目的は夢のような鎮痛剤「D・F」について

ある人物から情報を得ることと、

多田からの依頼である

T共和国で消息を絶った女性科学者を探すこと。

 

そしてもう一つ、

T共和国に滞在しているという

学生時代に恋人関係にあった橘浩文と再会すること。

 

交差しないはずの3つの目的は

恵弥を中心に複雑に絡まり始める。

 

彼が見つけ出す真実とは。

 

 

§感想§

「MAZE」「クレオパトラの夢」に続くシリーズ三作目。

 

「MAZE」からは満

「クレオパトラの夢」からは多田、慶子、和見が登場。

オールスター並みの勢ぞろいで

それだけでなんだか嬉しくなってしまいます。

 

そして、今回の重要人物の一人、

恵弥の学生時代の恋人、橘浩文。

 

絶対なんかある!

何なら危ない橋渡ってる!

と、思わされるようなキャラクター。

 

橘が出てくるたびに疑ってしまいました。

 

物語はアキコ・スタンバーグが通り魔に刺されるシーンから始まり、

これから何が起こるのか、一気に引き込まれます。

 

今作はシリーズの中で一番ミステリーしていると思う。

 

謎が三つもあるから結構こんがらがってて

これはどこに繋がるのだろうと

ワクワクしながら読み進め、

最後、満の告白に

お前っ!

と、突っ込みたくなりました。

 

私の中の恩田陸作品は

幻想的なお話が多い印象だけど

このシリーズは割と現実的なミステリー。

 

幻想的ではないけど、

代わりに旅行に行ってるかのような

多彩な風景が楽しめるのが

このシリーズかな。

 

これもまた良き良き。

 

満足度★★★★☆

シリーズの続きが出たら買いまーす

 

 

今回は

恩田陸 クレオパトラの夢

 

 

 

§あらすじ§

北国のH市を訪れた神原恵弥。

 

不倫相手を追いかけて北国へ行った双子の妹、和見を連れ戻すという名目の裏に

外資製薬会社のウィルスハンターとしての目的を持っていた。

 

恵弥の追う「クレオパトラ」は

根絶したはずのウィルスか

ただの夢幻なのか。

 

人々の欲望を掻き立ててきた「クレオパトラ」。

 

それは存在自体が絶対の禁忌であった―――。

 

謎を巡り、虚実が交錯する

神原恵弥シリーズ第二作。

 

 

§感想§

MAZEの続編となるクレオパトラの夢ですが

前作とは違って恵弥が主人公のお話。

 

恵弥のキャラクターも

よりパワフルに魅力的に描かれていますが

 

双子の妹、和見もなかなか

不倫相手を追いかけて北海道まで行っちゃうっていう

愛のパワーあふれるキャラクター。

 

恵弥と対照的で静かな口調ですが

行動と相まって芯の強さを感じます。

 

物語としては

「クレオパトラ」の真相を追うわけですが、

「クレオパトラ」そのものというよりも

渦巻く人間模様に惹かれるものがあります。

 

誰が見方で誰が敵なのか。

 

読み終えてみると

全ての行動は愛という原動力があったからこそだと

最後になればね、そう思いますが

途中までどれだけ大きな陰謀に巻き込まれてるんだろう、と。

 

MAZEもそうでしたが

起こる現象は派手でも

終わってみると割とあっけないというか。

身近な結末?

コンパクトな終わり方?


好みが分かれるお話かもしれない。

 

私はすっきり終わる感じで好きです。

 

満足度★★★★☆

恵弥のキャラクター好きだなー。