情報機関の充実　特に人的情報(ヒューミント)を　政府へ申入れ

神田憲次財務副大臣に対して

「日々勉強！結果に責任！」を掲げ、

「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする
参議院議員　赤池誠章(あかいけまさあき・比例代表全国区)です。

本年は、癸卯年。「国難を乗り越え、“跳躍”の年に」したいと存じます。

露のウクライナ侵略、チユウトウ情勢等の国際秩序が大きく揺らぎ、我が国を取り巻く安全保障環境が益々厳しくなる中で、国力の強化は不可欠です。国力の中でも、外交・防衛・経済・技術はもちろんですが、一番の課題は情報力です。

そこで、10月31日㈬、自民党有志議員で、政府に対して、情報機関、特に人的情報(ヒューミント)の充実強化について、申し入れを行いました。

内閣人事局に対して

申入れの要旨は以下です。

◎政府の人的情報収集・分析体制の強化に係る申入書（要旨）

「危機の時代」に死活的に重要な人的情報（ヒューミント）

今や世界は、的確な情報なくして国家の運営は困難な「危機の時代」に突入した。特に、懸念国の意図を含めた動向を正確に把握するための人的情報（ヒューミント）は、死活的に重要となっている。

ロシアのウクライナ侵攻に際しては、米英中心にウクライナやNATO加盟国が情報を共有し、ロシアによるウクライナの早期占領を頓挫させた。また、イスラエルの情報機関が、ハマスの奇襲を許した背景には、ハイテクによる通信傍受への依存及びヒューミント能力の低下が指摘されている。これらの事例は、危機に際して如何に情報、特にヒューミントが重要かを端的に表している。

翻って我が国の周辺環境を見たとき、地域の安定の要である米国は、ウクライナやイスラエル・パレスチナ情勢に手を取られ、その推移を注視する中国が、台湾統一への動きを加速化させる可能性も懸念されている。我が国は、こうしたリスクも想定し、ヒューミントを含め必要な情報収集・分析体制を早急に確立しなければならない。

また、懸念国に機微技術が窃取される事例なども後を絶たず、こうした不正な経済活動を検知するためには、懸念国の技術開発動向や、身分を偽装した懸念国要員の行動などを把握するヒューミントが不可欠である。

我が国のヒューミントを巡る現状とリスク

一方で、我が国のインテリジェンス、とりわけヒューミントの分野は、現下の国際情勢に対応できる水準に到底達していないのが現状である。

十分な情報収集・分析力の欠如は、武力攻撃の兆候を見逃してしまう、不確実性の中で重大な決断を迫られる、相手方の意図を見誤り、誤った対応で無用なエスカレーションを招く、など致命的なリスクに直結する。特に、切迫した情勢下では、相手方の意図、計画など核心に迫るヒューミントが決定的に重要な役割を果たすが、我が国ではこの能力が欠如したまま放置されている。

また、懸念国などで先端兵器の開発が急速に進展し、欧米諸国が技術流出防止に連携強化する中、我が国の経済インテリジェンス体制は極めて脆弱であり、急ぎこれを強化しなければ、我が国から流出した技術や先端部品が、我が国のみならず世界の安全保障環境の更なる悪化をもたらす結果となりかねない。

劇的に悪化する国際情勢を前に、我が国にとって、ヒューミントを中心とした情報収集体制の抜本的強化は焦眉の急である。人材の育成や情報源の獲得には時間を要することを考えれば、人員及び予算の拡充には一刻の猶予もない。

情報収集等の強化に向けた党の提言・政府の決定

我が国は、令和4年12月に閣議決定された国家安全保障戦略で、我が国の安全保障に関わる国力の主な要素として「情報力」を掲げ、政策決定に寄与し得る情報収集・分析能力の強化、「特に、人的情報については、その収集のための体制の充実・強化を図る」旨打ち出した。さらに、自由民主党政務調査会経済安全保障推進本部は、本年３月及び５月、提言を策定し、人的情報収集、経済安全保障やサイバー安全保障、偽情報対策に関連する体制強化を政府に強く求めた。こうした動きを受け、骨太の方針2023には、人的情報を含む情報収集・分析に係る我が国の体制と能力を強化することが初めて明確に記された。

政府においては、これら自由民主党の各提言や国家安全保障戦略、骨太の方針2023を踏まえ、安全保障上の脅威に対するヒューミントを強化するため、情報収集業務に係る人員及び予算を、新たな特別枠を設けるなど、前例にとらわれることなく、抜本的かつ継続的に拡充し、必要な体制基盤を早急に確保するよう強く求める。

自由民主党国会議員有志一同

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