10月11日㈫、高市早苗経済安保担当大臣に対して、わが国の情報機関の体制強化について、有志議員で申入れを行いました。高市大臣からは、自民党政務調査会長時代にも取り組んでいた事であり、経済安保の実効性確保の面からも賛同して頂きました。
 その後、内閣人事局と財務省にも同様の趣旨で要望しました。財務省では、宮本周司大臣政務官にご対応を頂きました。
 ご多用の中、関係者には感謝申し上げます。

 わが国の独立と安全を確保すべく、防衛力を強化するときに、外交力とそれを裏付けるる情報力がなければ、実効性を発揮することはできません。引き続き情報力の強化に努めていきます。

 申入書の概要は以下です。

◎政府のインテリジェンス体制・機能の強化に係る申入書(要旨)
 
 自由民主党政務調査会・新国際秩序創造戦略本部は、令和2年12月、政府に対し、「経済インテリジェンス能力の強化」に重点的に取り組むよう提言を行い、その中で、インテリジェンスコミュニティの抜本的な人員の増強を含めた情報収集機能及び分析力の強化を求めた。また、本年4月の自由民主党による「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」において、サイバー分野での「インテリジェンス部門との連携」や、ヒューミント(人的情報)の強化を含む情報収集・集約・共有・分析等の体制強化を強く求めた。こうした動きを受け、骨太の方針2022には、経済安全保障、サイバー分野におけるインテリジェンス機能・体制強化の推進が盛り込まれた。
 
 これら提言の背景には、我が国を取り巻く安全保障環境の急速な悪化と我が国に対する直接的な脅威の増大がある。特に中国は、国際社会に対して一層強硬な姿勢をみせており、その意図や様々な活動の実態を的確に把握することは、我が国にとって死活的に重要となっている。中国は、尖閣諸島周辺で公船による領海侵入を繰り返しているほか、台湾に関しても、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を行い、同演習での弾道ミサイル発射訓練において5発を我が国排他的経済水域に落下・着水させた。台湾及びその周辺海域は、我が国の先島諸島と境界を接し、我が国にとって死活的なシーレーンを構成していることから、台湾有事は我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼす脅威である。また、経済面においても、あらゆる手段で先端技術の獲得を企図している。

 ロシアは、ウクライナ侵略によって国際秩序を大きく揺るがせ、核による脅しを含め、軍事力を背景にした活動をより露骨に行うようになっており、北方領土周辺においても軍事演習を活発化させている。また、ロシアと中国は、我が国周辺で共同哨戒飛行・航行を行うなど、軍事的な連携を強めている。
 
 北朝鮮については、今年に入り、過去に例を見ない頻度でミサイルの発射を繰り返すとともに、核実験再開の準備が完了した状態にある中、核政策法を定め、核・ミサイル体制のフェーズを変えつつあるほか、サイバー攻撃による暗号資産の不正獲得なども行っている。また、拉致問題についても「解決済み」との主張を繰り返し、いまだ解決の糸口が見えない。加えて、これらの国家を背景とした我が国企業等へのサイバー攻撃の脅威が深刻なものとなっている。
  
 これらの脅威に対しては国際的な連携も進展しており、国際社会と協調して取組を進める上で、欧米などの西側諸国から我が国に対しては、中国や北朝鮮を中心としたインテリジェンスの入手に期待が高まっている。
 
 伝統的な安全保障の枠を超えた、経済安全保障やサイバー攻撃等の新たなリスクが顕在化している中、中国等による先端技術の窃取やサイバー攻撃の実態について詳細を解明すること、また、これらの国や様々な脅威主体の意図を的確に把握できる体制を築くことが喫緊の課題である。
 
 増大する脅威に国際的に協調して対抗していく上で、経済安全保障、サイバー分野を含むインテリジェンスの収集・分析に係る政府の機能について前例にとらわれない大幅な強化が不可欠であり、また、中国政府・党の中枢情報など脅威対象国の意図を把握するための体制整備がとりわけ重要であるが、その体制が十分であるとは到底言い難い。その大きな要因は、欧米の情報機関に比して圧倒的に少ない人員・予算にあり、ファイブ・アイズを始めとする同盟諸国との情報連携の大幅拡充も求められる中、我が国インテリジェンスコミュニティの情報収集・分析体制の抜本的強化、ヒューミント活動の更なる高度化が急務かつ不可欠である。
 
 上記のような、中国等の脅威を受けた経済安全保障、サイバー分野に係る世界的な関心の高まりや自由民主党の提言等を踏まえ、安全保障上の脅威に対するヒューミントを強化するため、我が国インテリジェンスコミュニティの情報収集業務に係る人員及び予算を、前例にとらわれることなく、抜本的かつ継続的に拡充し、主要先進国における情報収集・分析体制と同水準の体制基盤を早急に確保するよう強く求める。
 令和4年10月11日
自由民主党国会議員有志一同