衆議院において、事業費28兆円の今年度第二次補正予算が成立し、10月5日(水)からは参議院予算委員会において、議論が始まりました。
10月4日(火)に、自民党本部で文部科学部会が開催され、文部科学省が提出予定の「教員の養成・採用・研修の一体改革法案」が議論されました。
●子供たちの状況の変化
現在、子供たちをめぐる現状は、大きく変化しています。文部科学省の調査によると、次のような状況です。
・不登校(H5→24) 小学校1・8倍(0・17→0・31%) 中学校2・1倍(1・24→2・56%)
・校内暴力(H18→24) 小2・2倍(3,494→7,542件) 中1・3倍(27,540→34,528件)
・外国人(H14→24) 小1・4倍(12,523→17,154人) 中1・4倍(5,317→7,558人)
・通級指導(H5→25) 小5・9倍(11,963→70,924人) 中23・5倍(206→6,958人)
・特別支援(H5→25) 小2・1倍(74,851→15,8525人) 中1・9倍(44,890→83,529人)
・要保護等(H7→24) 小1・8倍(8・7→15・3万人) 中2・1倍(67・9→139・9万人)
●教員をめぐる厳しい環境
前述したように子供たちをめぐる現状が大きく変化する中で、それに対処している教員は厳しい環境に置かれています。OECD(経済開発機構)の2013年調査によると、次のようなものです。
・1週間の勤務時間 わが国53・9⇔平均38・3時間 参加国34カ国中最長
・授業時間 わが国17・7⇔平均19・3時間 逆に平均より短い
・課外活動 わが国7・7⇔平均2・1時間 スポーツ・文化活動指導が参加国中最長
・一般事務時間 わが国5・5⇔平均2・9時間 平均より倍長い
・授業計画準備 わが国8・7⇔平均7・1時間
以上のように、教員の勤務時間は圧倒的に長く、だからとって授業時間は逆に長いわけでなく、人員不足感が大きい状況です。
そして、学び合う校内研修、授業研究の伝統的な実践があり、組織内指導者による支援を受けている割合、校長やその他の教員からフィードバックを受けている割合が高く、教員間の授業見学や自己評価、生徒対象の授業アンケートなど多様な取組みがなされています。これらの効果として、わが国の教員は指導実践の改善や仕事の満足度、意欲等の面で好影響があると認識している割合が参加国中高いことが明らかです。
一方、主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低く、ICTの活用等の実施割合が低いことも分かっています。
わが国の教員は、研修への意欲は高いのですが、業務多忙や費用、支援不足が課題となっています。
そして、教員の世代構成が不均衡で、初任者の割合が高く、中堅の教員の割合が低くなっています。50歳以上の教員が全体の4割を占め、今後大量退職・大量採用の影響により、教員の資質向上が求められています。
●初任者教員への厳しい評価
文科省の調査によると、校長による初任者教員に対する評価は、ほとんどの資質項目で「不足している」とする割合が4割を超えており、大変厳しいものとなっています。
・教師の使命感や誇り 充足82・3⇔不足18・0%
・子供への愛情・責任感 充足86・1⇔不足13・8%
・子供の理解 充足45・3⇔不足54・7%
・指導力 充足36・4⇔不足63・7%
・集団指導力 充足30・4⇔不足69・6%
・学級づくり 充足35・4⇔不足64・6%
・学習指導・授業づくり 充足40・5⇔不足60・4%
・教材解釈力 充足41・5⇔不足58・5%
・人間性・社会性 充足55・0⇔不足45・1%
・常識・教養 充足57・6%⇔不足42・4%
・対人関係・コミュニケーション力 充足58・3⇔不足41・6%
・教職員全体と協力 充足79・2⇔不足20・9%
教員としての当然なくてはらない知識・技能が不足しているという深刻な状況が浮かび上がってきています。
●教員の養成・採用・研修の一体改革へ
以上のような子供たちの変化、教員の状況を踏まえ、そして今後学習指導要領の全面改訂を控え、主体的な教育手法(いわゆるアクティブ・ラーニング)が導入されてきます。そにような中で、現状の大学での教員養成、教育委員会での採用、現職教員の研修の在り方について、官邸の教育再生実行会議の提言、文科省の中央教育審議会での答申を受けて、次のような改革を行うことになりました。
第一に教育公務員特例法を改正して、①校長及び教員の資質向上に関する指標を整備します。まず文科大臣が教員指標の指針を策定します。教員等の任命権者である教育委員会がは、関係大学等とで協議会を組織し、文科大臣の指針を参酌しつつ、教員の職責、経験、適性に応じて資質向上を図るための指標を作成し、それに基づく教員研修計画を定めます。
②十年研修を見直します。教員免許10年更新制の研修と重なることが多かった、十年経験者研修を見直し、中堅教諭等資質向上研修に改めます。実施時期の弾力化を図り、中堅教諭として真に必要な研修を行います。
第二に、教員職員免許法を改正します。外国語の小学校特別免許状を創設するとともに、大学において修得を必要とする単位数の科目区分を統合します。大学の教員養成力を向上させるために、学生の学校インターンシップを入れることができたり、シラバス(授業計画)をチェックできるようにします。
第三に、独立行政法人教員研修センター法を改正して、教職員支援機構に改めます。改組した組織では、従来からの教員研修を強化しつつ、教員の資質能力に関する調査研究を目的に入れ、教委が指標を定めようとする際に助言することができます。免許更新講習等を認定できるようにします。改組後は、全国各地の教員採用試験についても、名乗り方式で筆記試験の共通化も目指します。
今後、与党内の党内手続きを経て、閣議決定され、本国会に提出されて、成立を目指し、来年度から施行を予定しています。
今回の法改正対象者は、公立学校の幼小中高特別支援の91万人余りの先生方です。国立や私立の教員22万弱は対象となりません。公立学校や改組する教職員支援機構の調査研究の成果を踏まえて、国立や私学にも成果を普及させていくことになるでしょう。
教育再生は教師力の向上から。
今日一日「国づくり、地域づくりは、人づくりから」と全身全霊で取組みます。
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●熊本大地震の被災者支援を
熊本地震の被災者の方々には、心よりお見舞いを申し上げます。
政府では、被災者支援のための情報提供を行っています。
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/saigai/kumamoto_hisai.html
自民党本部でも義援金を募集しご協力を頂き、有り難うございました。3千万円以上を、赤十字を通じて、被災地支援に役立てています。
https://www.jimin.jp/news/activities/132008.html
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●自民党党員募集
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