8月は、政府の来年度平成29年度の予算案について、各省庁から財務省に対しての概算要求の時期です。31日に提出することになります。

そこで、自民党では、825()26()、そして29()と、本部で各部会に分かれ、経済対策のための第2次補正予算の報告を受け、来年度予算案の概査要求や税制改正案の議論が一斉に行われています。

 

私の基本的な考え方でもあるのですが、次の3点のポイントでチェックしています。

第一は、周辺国の軍拡、テロを横行等の厳しい国際情勢の中で、わが国の外交・防衛・治安力を強化して、国家国民の安全を保障し確保することができるかどうか。

第二は、世界経済の不透明感が強まり、国内経済も停滞する中で、経済再生・地方創生への道筋を確かなものにして、社会保障を効率化できるかどうか。

第三は、わが国が持続し発展し続けていくために、環境を整え、徳知体に優れた人材を育成できているかどうか。

 

●経済対策のための今年度第2次補正予算 45兆円

 

まずは、今年度の2次補正予算案です。参院選の勝利を受けて、安倍総理の指示のもと、一億総活躍社会づくり、21世紀型インフラ整備、中小企業や小規模事業者支援等に向けて、一般会計総額が32,869億円となりました。東日本大震災復興特別会計などを含めると、歳出は45,221億円に上ります。不足する財源を補うため、建設国債を追加で27,500億円を発行します。事業費は281千億円となります。その中には、中共の尖閣諸島への攻勢を受けて、海保が600億円以上で3隻の大型巡視船を新造する費用も盛り込まれています。9月に招集する臨時国会での成立を目指してまいります。

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/hosei0824.html

 

「未来への投資を実現する経済対策」 45,221億円

1一億総活躍社会の実現の加速7,137億円

1子育て・介護・学校施設の環境整備2,770億円

2)若者への支援拡充、女性活躍の推進200億円

3)臨時福祉給付金等の社会全体の所得と消費の底上げ4,167億円

221世紀型のインフラ整備14,056億円

1)外国人観光客4000万人に向け船や空、情報、国立公園等のインフラ整備1,001億円

2)農林水産物の輸出促進と農林水産業の競争力強化4,317億円

3)リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速3,212億円

(参考)財政投融資 リニア中央新幹線の全線開業前倒し〔鉄道・運輸機構:15,000億円〕、整備新幹線の整備の加速化〔鉄道・運輸機構:8,279億円〕

4)インフラなどの海外展開支援3,624億円

(参考)財政投融資 高効率火力発電所の建設等の海外インフラ展開支援〔国際協力銀行:2,000億円〕。

5)医薬、宇宙、AI等の生産性向上へ向けた取組の加速1,903億円

3.英国のEU離脱等への対応と中小・小規模事業者及び地方創生への支援4,340億円

(参考)財政投融資 資金繰り支援〔日本政策金融公庫(国民・中小):1,000億円〕

鉄道立体交差化等の推進〔日本政策投資銀行:約5,000億円〕

4.熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対応の強化19,688億円

1)熊本地震からの復旧・復興4,139億円

2)東日本大震災からの復興の加速化5,456億円

3)災害対応の強化・老朽化対策8,049億円

4)海保、自衛隊、入管、税関、テロ対策等の安全・安心の確保2,044億円

 

●来年度予算案の概算要求は101兆円

 

次に、来年度予算案の全体の概算要求は3年連続で100兆円を超え、来年度は101兆円となりました。これがそのまま財務省に認められるわけでなく、年末に向けて査定作業に入り、削られていきます。今年度の場合でいれば、概算要求総額から約57千億円少なくなり、当初予算の一般会計の総額は、967218億円となっています。

国債の利払いや償還に充てる国債費が、低金利によって1兆円程度概算要求額が昨年より下がっていますが、基礎的財政収支の対象となる費用の要求額は77兆円程度と、今年度予算比で4兆円程度増加要求しています。

 

第一のチェックポイントの外交・防衛・治安力について、防衛省の要求額は北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応を強化するためのミサイル防衛関連の強化などで51685億円と過去最大となっています。

外務省は 外交力を向上させるために拠点となる在外公館を、エチオピアにあるアフリカ連合(AU)本部に代表部を置くほか、旧ソ連のベラルーシはじめ、キプロス、エリトリア、セーシェル、バヌアツに大使館、セブなど3都市に総領事館を置き、計9カ所に新設します。先行する中共に追いつくための措置です。政府開発援助(ODA)は同129%増の4,903億円を計上しています。金額的には少なくなったとはいえ、草の根・無償援助等がいまだに残る対中ODAの廃止を、党外交部会で改めて強く求めました。また、テロから在外邦人を守るため、日本人学校や短期渡航者への安全対策の支援も強化し、領土や歴史認識をめぐるわが国の主張を世界的に普及させるため、対外発信力の強化と外交官の研修強化も入っています。総額は28年度当初予算と比べて約83%増の約7730億円です。

 

●地域づくり予算は?

 

第二のチェックポイントである経済再生・地方創生、社会保障の効率化について、国土交通省が要求する公共事業費は6兆余りとなり、わずかですが前年より約90億円増えます。

 

経済産業省では、福島復興の加速化や熊本の復旧・復興を進め、エネルギー政策の再構築と地球環境への貢献などに取り組む方針で、一般会計とエネルギー対策特別会計を合わせた経産省全体の概算要求額は、今年度当初予算比で一般会計が133%増の3,819億円、エネルギー特別会計が同90%増の9,140億円を見込んでいます。特に、中小企業対策費では、今年度当初予算比216%増の1,351億円を見込んでおり、2次補正予算案の「拡大版ものづくり補助金」である「地域未来投資促進事業」などと連動させ、中小企業の生産性向上や世代交代・事業承継支援、下請法の運用強化による取引条件の改善などを通じて、中堅・中小企業の成長を支えます。

 

農林水産省は、前年度の概算要求と同規模の26千億円程度となります。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をにらみ、農家の所得向上に力点を置き、日本は1農家あたりの農地面積が小さく、韓国や欧米に比べ農業の競争力が弱いので、農地の集約が進む地域には土壌改良などの整備費を手厚くし、耕作面積の拡大を促します。新規就農者への資金支援や農業法人での研修費も盛り込み、若年層が就農しやすい環境をつくります。コメから収益性の高い野菜への作付け転換に補助金を出し、農産物を輸出する際の妨げになっている諸外国の検疫を改善するよう促す協議を進める体制の整備費などを盛り込んでいます。訪日外国人の需要を農山漁村の活性化につなげるために、外国人を受け入れる農家民宿や古民家などの整備に加え、ホームページの多言語化、農林漁業体験の企画などに補助金を出す予定です。

 

総務省は、自治体に配る地方交付税は今年度当初予算比44%減の159,588億円。交付税以外の各種事業を含めた同省全体の概算要求額は43%増の166,743億円となっています。都市部の若者が長期休暇を利用して地方に滞在する「ふるさとワーキングホリデー」など、地方創生に関する事業が盛り込まれています。個人番号カードの交付遅れが問題となりましたが、マイナンバーカードの交付円滑化や利用促進に324億円を盛り込んでいます。同カードにポイントをためて、全国の公共施設や商店街などで使えるようにする取り組みも進めたり、女性の活躍支援として、マイナンバーカードや住民票に旧姓を表記できるようにシステムも改修します。

 

概算要求のうち、最も大きい厚生労働省の社会保障関係費要求額は、今年度予算に比べて27%増の31兆円で、高齢化に伴う増加分6400億円と、「1億総活躍社会」の実現に向けた保育の受け皿整備などを盛り込んでいます。働き方改革では、非正規雇用の待遇改善や長時間労働の是正に予算を重点配分しています。同じ仕事に同じ賃金を払う「同一労働同一賃金」の実現に向けて573億円を計上し、非正規から正規雇用への転換を促す助成金の拡充などに充てています。2万人超にのぼる待機児童対策では保育所などの受け皿整備に712億円を計上し、育児休業を終えたあと保育所に入れるよう事前に予約ができる「入園予約制」を導入するよう自治体を支援する予算も含んでいます。年金受給資格期間を現行の25年から10年に短縮することも盛りこんでいます。

 

●教育再生、文化、スポーツ、科学技術に58兆円要求

 

第三のチェックポイントである環境を整え、人材育成について、環境省では東日本大震災からの復興の加速化や地球温暖化対策に重点を置き、除染関連事業に3,098億円を計上し、一般会計と特別会計を合わせて今年度当初予算比4%減の11,762億円となっています。

 

文部科学省では、58兆円(今年度比5千億円、95%増)を要求しています。教育再生は教員の量の拡大と質の向上からということで、教職員定数を改善し3,060人増加します。ただし自然減が3,100人あるので実質40人減となります。部活動指導の業務手当を3千円から2割増の3,600円にします。義務教育の先生方の給与の国庫負担分だけで15兆円となります。

その他、私のライフワークである道徳教育の充実に向けて、いよいよ来年から小学校の教科書が採択されるので無償供与分や、保護者等への理解促進のためのパンフレット作成配付等もあり、28億円(13億円増)計上されています。

また、キャリア教育・職業教育の充実のために、12億円(7億円増)も計上されています。小学校から起業体験、中学校の職場体験活動、高校でのインターンシップ等、専門高校の強化や専修学校での地域産業人材育成等が盛り込まれています。

18歳以上の選挙権付与もあり、参院選でのわが党の公約でもあった奨学金事業の充実について、1,183億円(160億円増)です。無利子奨学金をめぐっては、基準を満たしているのに予算不足で貸与されない「残存適格者」が約24千人もおり、有利子奨学金を借りるなどしているために、残存適格者の解消を目指し、貸与人員を無利子奨学金が499万人(24万人増)、有利子奨学金が82万人(24万人減)とします。有利子奨学金についても、低金利時代に合わせて、50億円の利子補給を実施します。給付型奨学金については、今年度創設に向けて議論を続けています。奨学金は、税制融資資金も含めて1兆円事業となっています。

奨学金の充実だけでなく、大学等への授業料減免枠も拡大しています。国立大については約2千人分増やした約61千人分、約333億円を要求し、減免経費の半額を補助する私立大についても約12千人分増の約6万人分、約112億円を計上しています。さらに、専修学校においても、昨年度から2千人分3億円が計上されており、今年度に引続き来年度も同額を要求しています。

国立大学支援に11601億円(575億円増)、私学助成の充実に4,761億円(458億円増)、スポーツ関係予算に402億円(79億円24%増)、文化芸術支援に1,225億円(185億円増18%増)、科学技術支援に11254億円(1,634億円17%増)となっています。

国立大学に関しては、独立法人になったとはいえ、86の大学に国費が毎年1兆円もつぎ込まれているわけで、入学式や卒業式に国旗掲揚・国歌斉唱しない国立大学があると言うのはとても容認できるものではありません。一事が万事。国家意識なき国立大学から、国家を担う人材が育成されるとは思えないからです。党部会でも取り上げ、文科省に引続き強く働きかけるよう求めました。スポーツ庁が発足して、スポーツ関係予算が過去最大の400億円代の要求となりました。五輪東京大会に向けて、トップレベルのスポーツだけでなく、子供からお年寄りまで体力を増強し、健康寿命を延伸して、社会保障費の削減につなげていきたいと思います。

 

●別途沖縄振興費に3千億円以上

 

最後に、沖縄振興費について触れておきます。内閣府は、来年度予算案の概算要求で、沖縄振興予算について、今年度の当初予算より140億円少ない3,210億円を計上しました。沖縄振興予算の概算要求が当初予算を下回るのは第2次安倍内閣発足以降、初めてのことになったと一部マスコミが大騒ぎしています。辺野古移設に対して協力しない翁長県政に対する報復的措置という穿った見方をするマスコミさえあります。これは、沖縄県自体が予算を消化しきれずに繰り越されている分があることなどを踏まえての内閣府の減額措置です。

そもそも沖縄振興予算については、安倍総理は仲井間前知事との協議によって、平成33年度まで毎年3千億円台を確保する方針であり、通常の県の予算が国の支援を踏まえて組まれるものとは別枠、特別枠で国が沖縄県を支援しているものです。他の地方公共団体から見れば、考えられない特別扱いです。小規模県から見れば、県の当初予算と同額という巨額が毎年支援されているのですから。木を見て森を見ない一部マスコミの主張はいただけません。

 

以上、厳しい財政状況の中、課題は山積なのですが、何とか国家国民を守るために、引続き議論を積み重ねていきます。

 

 今後も「国づくり、地域づくりは、人づくから」をモットーに、全身全霊で頑張ります。

 

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●熊本大地震の被災者支援を

 

熊本地震の被災者の方々には、心よりお見舞いを申し上げます。

政府では、被災者支援のための情報提供を行っています。

http://www.kantei.go.jp/jp/headline/saigai/kumamoto_hisai.html

 

 自民党本部でも義援金を募集し、ご協力を頂き、3千万円以上を赤十字を通じて、被災地支援に役立てています。

 https://www.jimin.jp/news/activities/132008.html

 

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●自民党党員募集

 

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