自民党政治教育勉強会

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統一地方選後半戦の中、423()午前8時から、自民党本部で文部科学部会勉強会(選挙年齢引下げ)の第3回目が開催されました。「選挙や政治参加に関する教育の先進的・実践的な取組」について、神奈川県教育委員会、神奈川県立湘南台高校、模擬選挙推進ネットワークから取組みの説明を聞きました。発言要旨は以下です。

 

()神奈川県におけるシチズンシップ教育について

 

①神奈川県教育委員会における取組

神奈川県では、平成23年度から全県立高校でシチズンシップ教育を実施しています。社会を担う自立した社会人の育成や積極的に社会参加するための能力と態度の育成を方針として、キャリア教育の一環として、4つの柱(①政治参加教育、②司法参加教育、③消費者教育、④道徳教育)で実施しています。

本日は、政治参加教育の実践の中でも、特に模擬投票の取組について説明します。本県では、3年に一度の参議院議員通常選挙に合わせて、模擬投票を全県立高校で実施しています。教育課程上の位置付けは、公民科や総合的な学習の時間で実施することとしており、全県立学校を対象としていますが、学校によっては、履修者のみの場合もあります。実施に当たっては、投票だけでなく、事前指導から事後指導までのひとまとまりを大切にしています。また、政治の中立性、公平性を保つよう注意を促しています。具体的には、政策の是非など教員の価値判断を伴わないようにすることや、ある特定の政党のマニフェストだけを扱うことがないようにしています。模擬投票は、放課後など授業時間外に、自由投票で実施し、投票行為は学習評価の対象とはしていません。実際の選挙結果の後、開票しています。

事後アンケートによると、政治や社会に対する興味・関心が高まった生徒は56.8%、選挙権を得たら選挙に行こうと思った生徒は64%という結果です。模擬投票の取組は、積極的に社会参加するための能力と態度の育成に有効であると判断しています。

 

②湘南台高校における取組

 本校では、シチズンシップ教育を含むキャリア教育に取り組んで6年目になります。教科指導、教科外指導、すべての教育活動において、将来の主権者、良き市民づくりに収斂するという広義のシチズンシップ教育の観点から指導しています。

総合的な学習の時間をシチズンシップという名称にし、それぞれの学年で生徒が主体的に取組むアクティブラーニング型授業を実施しています。

()模擬投票・・・平成25年度の投票率は55

参議院議員通常選挙を活用し、実際の投票箱や記載台を選管から借用して使用し、マニフェストの比較検討し、比例区と選挙区の両方で実施し、生徒有志による投票プロジェクトチームが企画・運営しています。

生徒からは、「各政党の比較ができた」「1票の影響が大きいことを実感した」「街頭演説に耳を傾けるようになった」等の感想がありました。 

()模擬議会・・・5時間、1年生279名参加

生徒が議員となり議案を審議し、クラスごとに実施しています。

生徒からは、「国会の活動がわかった」「議題を考えていると放っておけない問題だと思った」「しっかり考えないといけないと思った」等の感想がありました。

 成果として、生徒の政治や社会に対する興味・関心や政治の有効性に関する感覚が高まったこと、課題発見・解決能力や倫理的思考力、コミュニケーション能力など21世紀型学力の育成が図られたことが挙げられます。課題としては、評価方法の研究と実践があります。

 

()模擬選挙推進ネットワーク

 

“生の政治”を通して主権者意識をはぐくむ未成年模擬選挙

   ~日本における13年の取組から見えること~

模擬選挙は、実際の選挙に合わせて行います。シチズンシップ教育は、海外の方がメジャーであり、特にアメリカやスウェーデンが盛んです。

2008年のアメリカ大統領選では、全米で700万人が投票

 2014年のスウェーデン総選挙では、42万人が投票

  2014年の日本の総選挙では、8343人が投票

 意義としては、主権者としての自覚や意識付けとなることや自分で知る、考えることができるようになるということです。

 2014年の衆院選について、実際の投票結果と模擬選挙の結果を比べてみると、各政党の投票割合は、ほぼ同じ割合になりました。子供たちは、大人よりも多様な視点で政策をみています。また、政策本位で選ぶ傾向があります。子供たちが知ったことや調べたことを家庭で話すことにより、本来の有権者によい影響を与え、親たちが、実際の選挙に関心をもつ姿が見られました。

模擬選挙推進ネットワークは、模擬選挙の運営に関するサポートとして、授業案やカリキュラム、投票にかかわる各素材の提供、政党のポスター、マニフェストの配布等を行っています。

運営上の課題としては、生の政治を持ち込むことを否定する教育委員会や管理職がいることであり、政策の伝え方、特に先生の伝え方が非常に大切になってきます。また、模擬選挙の時期や運営や資金の問題もあります。

今、若者は、政治や選挙に関心がないといわれます。また、大人には、子供に政治のことを話しても分からないという思いもあるのではないかと思いますが、政治家には若者にもわかりやすい形で政策を示すよう努めてもらいたいと思っています。

 中・高生1400人のアンケート結果では、政治・選挙への関心あると答えた生徒の割合は、模擬選挙の実施前と後では、45.8%から76.4%という結果になりました。また、有権者になる前から、政治や選挙について考え、話せる場所があると、政治意識が高まると言えると思います。また、模擬選挙で投票した中・高生の6割近くは、選挙権があったら投票したいと思うと答えています。

 

 私は、高校時代に模擬投票を経験し、大学では米国に留学し現地でも模擬投票を経験しました。現在大学院で若者の政治参加を研究しています。実際に自分自身、都議会選挙の実施に合わせて、選挙や開票を行いました。このことにより、今まで見たことや聞いたことがなかったマニフェストにふれることができました。また、駅前に街頭演説を聞きに行ったり、政治の動向が気になるようになりました。

模擬選挙を経験することで、人々は政策で選び、よく考えて投票する貴重な1票になると思います。また、家庭で選挙や政治のことを話すようになると思います。

 

●議員からの質疑応答

 

 取組みの説明後に、参加していた自民党議員より質問があり、それに答えてもらいました。

 

(議員からの質問)神奈川県におけるシチズンシップ教育は、選挙や政治参加に関する体験的な活動で先進的・実践的な取組であることがわかりました。気になるのは、国会でも、立法・司法・行政の区別がついていない議論が見受けられることです。教育の中ではっきりとさせているのか、その指導はどのように行っているのか、お聞かせ下さい。

また、学校での模擬選挙の結果と実際の投票結果を比べると、割合が近いという説明がありました。これは、親の投票行動、姿勢に左右されるのでないかと思いますが、どうでしょうか。

 

(神奈川県教委)いわゆる三権分立については、社会科、地理歴史、公民、特に公民科で知識・理解を取り扱っています。知識・理解面だけでなく、テーマを出して生徒に考えさせたりディベートを行ったりして、三権分立についての理解を深めるとともに考え方を引き出すようにしています。

 

(湘南台高校)公民中心に知識・技能の習得を図っています。司法については、模擬裁判を行い、裁判員制度を体験させています。習得、活用、探求のプロセスが大事と考えています。活動だけではダメで、学習を通じ、生徒からは国会、裁判、検察がわかったなどといった感想が寄せられており、理解の深まりを感じています。

 

(模擬投票ネット)模擬選挙の結果は、親の投票行動の影響もあると言えます。ただ一方で、模擬投票は、模擬投票という活動を前にこのように投票したのはなぜかなどと振り返りながら積み上げていくことで、さらに効果が出てくると思っています。

政治に無関心な親の場合、子供が政治を話題とすることによって、逆に、親が投票について考えたり、選挙のことを話したりするようになりました。模擬選挙を通じて、子供が親を変えることがあるかもしれないと思います。

 

(議員からの質問)キャリア教育の一環として4つの柱で実践的な取組を行っているということですが、それぞれの配分はどのようになっていますか。

選挙権年齢の引き下げを踏まえ、成年年齢の引き下げを行う場合、消費者教育が重要になると考えています。消費者教育の取組については、また別な機会に伺いたいと思います。

模擬投票での取組については、教師の役割、かかわり方が、とても重要になると思います。どのように教師に指導していますか。

あわせて、学校における生徒の選挙運動については、どのように考えていますか。

 

(神奈川県教委)4つの柱の取組は、各学校の判断で生徒の実態等を踏まえて行っており、一概には言えないが、例えば、政治参加教育では56時間といったところです。

消費者教育については、公民科、技術・家庭科で行っています。外部人材を活用し、知識の習得にとどまらず、実践的な活動となるように努めています。

模擬投票での教師の役割は重要であるとともに、懸念事項でもあります。教育委員会では、シチズンシップ指導資料を作成し、政治的中立を保つ等、模擬投票の活動のあり方について、校長にしっかり指導しています。生徒の選挙運動については、現時点で何か特別なことをしているわけではありません。

 

(模擬ネット)学校内での活動については、ルールをつくる必要があると思います。学校外の活動については、認めていく方向ではないでしょうか。教師の役割としては、いろいろな価値観があることを知らせることが重要です。また、教師自身の考えに触れる場合は、教師自身の考えとして話す場面を設け、はっきりと個人の意見であることが分かるようにすることが考えられます。

 

(議員からの質問)私の母校でも模擬投票を行っていました。エストニアでは、電子投票が進んでいると聞いています。ただ、当初は若者の参加が増える見込みだったが、10年やってみても変わらないとのことです。選挙権年齢を18歳に引き下げることを踏まえ、学校に政治そのものを持ち込むことを考える必要があるのではないでしょうか。このとき、模擬選挙のあり方は変わるのでしょうか。

 

(模擬ネット)海外には、候補者が学校へ行って演説をする例があります。生々しすぎるのはいかがかと思います。学校に政治を取り入れ、子供たちにふれさせていくことが大事だと思います。

 

(神奈川県教委)どのような形で学校の中に政治を入れていくことができるかは今後の検討事項としたいと思います。

 

●さらに確認 ~実際の生徒会活動との関連は

 

 勉強会終了後、私は別会合があったので、秘書官を通じて、疑問点を以下確認しました。

 

【神奈川県教育委員会へ】

)神奈川県教育委員会では模擬投票に関する副教材を作成していますか。

)生徒用の教材は各学校・教員が作成することとしていますが、教員用の指導書は教育委員会で作成しています。

 

)模擬投票の方法に指定はありますか(1票制か2票制か?選挙区制・比例代表制等)

)指定はありません。学校に任せています。

 

)模擬投票により実際の投票率は上がったか

)県単位では把握しておらず、学校単位でもこれからの検討課題

 

【神奈川県立湘南台高等学校へ】

)模擬投票と模擬議会とはどのような関係がありますか。

)模擬投票では政党のマニュフェストを用いて実際の候補者に投票するため、模擬投票の候補が模擬議会の議員になることはありません。模擬議会での議題で「普天間基地移設」「TPP」「原発」等は、模擬投票でのマニュフェストにで出てきますので、勉強にはなっていると思います。

 

)模擬議会で決まったこと(例えば、21時以降のスマホ使用禁止)が、実際に生

徒の行動を規制するようなことになっていますか。

)今はありませんが、今後の検討課題にはしたいと思います。

 

)生徒会役員の選任方法に特徴はありますか。

)他の高等学校と違いはありません。模擬投票は通常の生徒会活動の活性化にはつながっていると思います。

 

【模擬ネットへ】

)海外の学校の模擬議会の取組はどうでしょうか。

)日本よりは盛んに行われています。実際のこども議会のような取組も盛んです。日本では、秋田県では熱心に取り組んでいる地域があると聞いています。

 

)模擬投票によって投票率は高まりますか。

)実際に高まっているというデータはありませんが、例えば投票率8割のスウェーデンでは、このような取組が無ければ投票率は落ちてしまうと言われています。

 

 現在、文科省では総務省と合同で、18歳選挙権を前提に、今年度中に全国の高校生に配布する副読本を作成し始めています。先進的な取組を副読本に活かせていきたいと思います。

 

 

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