真夏の夜の夢。

夏の暑い盛りはなんにつけ飯メです。朝陽が射すまへに畑に下りて、今朝はビニールの合羽を着こんでゴム手袋、1000倍の除草剤を撒きます。人間は作物のこと、草や花や木のことを考えたりしますが、雑草たちはどうなんでせう。

いきなり人影がぬっと現れて、白い噴霧が宙から降り注いでくる。葉や茎から、やがて根っこに浸潤してゆくんでせうね。根絶やしのジェノサイド。こんなことは人間だけに許されるんでせうか。そこんところが不思議と云へば不思議です。

 

原爆は廣島、長崎に。枯葉剤はベトナムに。ジェノサイドはガザに、そればかりでなく緩慢な死は地球のいたるところに侵襲跋扈しているやうです。死のしきたりについては「花びらは散る花は散らない」とは云ふものの、正義を語り出すまへに、どうもこのあらゆる側面においての非対称性が気に掛かります。

 

或朝目が覚めたら雑草の大群が押し寄せ、取り囲み、眸を皿に見開いて、聞いたこともない言語を喚きはじめる。異国の言葉はむしろ耳に心地よく、だれとは云はないが、厳かに死刑を宣告された。

 

倉石智證