ベトナム戦争からカンボジア内戦へ。

戦争───

長年に渡る内戦でカンボジアは荒廃した

(カンボジア北西部のポル・ポト派の元拠点パイリン郊外で、

放置されている戦車の残がい。2000年03月)=共同

 

 

ときに緑の野砲を引っ張り上げる

/砲塔は錆び、時が経つままに

/蝶が来たり、鳥が囀り、

/あの狡猾な蛇さへも昼寝に来るのだ

 

/花の冠を上げよう

/いにしへの戦人(いくさびと)は地面の下から草生す声を

/花の冠を挙げよう

/母も娘も歌を唄ふのを忘れてゐる

 

/いにしへはイニシエーション

/緑の凹地にときに緑の野砲を引っ張り上げる

/蝶が遊び戯れ

/鳥は囀りやまぬ

/あの賢(さか)しらの蛇さへも砲塔にうたた寝する

 

/いにしへのイニシエーション

/誰しもが渡らねばならないとするならば

/多くの幻のやうな人影が

/いま、川を歩いて渡る

 

 

オマル・ハイヤーム(ペルシャ)

 

朝風に薔薇ばらの蕾はほころび、

鶯も花の色香に酔心地。

お前もしばしその下蔭で憩えよ。

そら、花は土から咲いて土に散る。

一茎の草でも蔑んで踏んではならぬ。

 

酒姫(サーキイ)よ、寄る年の憂いの波にさらわれてしまった、

おれの酔いは程度を越してしまった。

だがつもる齢の盃(つき)になお君の酒をよろこぶのは、

頭に霜をいただいても心に春の風が吹くから。

 

あの人たちの云ったことはただの風だよ

酒を飲もうよそれがこの身の幸だ

 

倉石智證