ば様のこと───

いつかこの蝶々結びが出来なくなるのかな

蝶々結びを指が忘れてしまう

指が紐の前でためらうのだらうか

蝶々は二度ともう飛び立てなくなって

山にも行けなくなったり

川ももう渡れなくなったり

風に休み、風に乗ることも無くなったり

さうなったらさみしいなぁ

最期はいろんなことを天に返していって

お指は胸の前に合わされて

ただ南無、と云ふんだらうか

今朝は何となく蝶々結びをしていて

ふとそんなことを考えた

「私は群れである」。

「形として、私はただ波にすぎない。

本質として、私は海なのだ」。

ハーンの言葉は謎めいていて、

でも多分それは死と生のことを包摂していて、

われわれを漂はす。

 

倉石智證