あふれるやうな───

あふれる心を聞くような気持ちだ/みんなが一生懸命なのだった/畑はないまぜになり/みんながそれぞれにいそがしい/背を低くして目立たないようにして雑草まで/だが意外とそれがしぶといのだった

/胡瓜はピークを越えたよ/身実を背に曲げて/いよいよ種作りに励むみたい/ほおっておいた南瓜がなにを思ったのか堰を跨いだ/まったく新しい未知の地に向かってゆくみたいに

/心慰める花は未だ/紫陽花は蔭に紫の色をひっそりと泛べ/毛蕊花の黄の花片は散り継いでは/また花に蜜蜂を誘う/これがどうと云ふばかりではないが/畑地に出ると/ああ、ひとつひとつにあふれる心を聞くような気持ちだ/午前六時、/這いつくばって雑草を取っていると/日が差し掛かって来た/シャッが袖口までびっしょりになる

 

倉石智證