なんだおまへ様だったのか
まさか僕だと思ったよ
深く刻まれた皺皺
落ちくぼんできた眼窩
自分ぢゃあまだ若いつもりでいたが
よくよく顔をのぞき込むと
なんだあんたはおれ様じゃあないか
ずいぶん遠くまで来たもんだね
風雨嵐に曝されて
とるもの取り合えずすっきりしたもんだ
十八歳の時に知り合って
言葉もポッと出の田舎者さ
大都会の洪水にアッと云ふ間に押し流された
目の前の掴れるものには藁にもすがる思ひで
痛めつけられ立ち直り
なんとかここまでやって来たね
よおし、握手だ乾杯だ
ハグして躰を揺すぶり合って
おお、そんなに呑まんでもいい
云っておくけれど大野屋のご飯もちょっとだよ
健やかなる一年を
来年もだよまた
きっとだよ
倉石智證


